第30話 秘密って何だっけ
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か! 今からでもなんとかならないのか!?」
「無駄じゃ、もはや選択肢はない。今戦えば樋稟に勝ち目はないが、今戦わなくてはいずれ警察に感づかれ、着鎧甲冑は世界から消える」
そんな八方塞がりな状況のはずだってのに、目の前の小さな老人は「我関せず」というような態度のまま、コンピュータにだけ注意を注いでいた。
……なんでだよ!? あんたあの娘のじいちゃんなんだろ!? 孫娘がやられそうだってのに、なんでそんなに冷静なんだ!?
「――そんなアッサリと言わないでくれよ。あんたは、救芽井の味方なんだろ!? あいつはいくら凄くたって、俺みたいな一般人と大して変わらない『普通の女の子』なんだ! そんな子供には、大人の味方が――必要なんだよッ!」
あいつだって、ゴロマルさんに助けを求めたかったはずだ。誰かに、寄り添っていたかったはずなんだ。それなのに!
「言ったであろう。もはや選択肢などない、とな」
「簡単に、言うなよ……!」
「それが現実じゃ。諦めるしかないじゃろう」
「――簡単に言うな、っつってんだろッ!」
酷く冷静で、それを通り越して「冷酷さ」さえ感じられたゴロマルさんの応対に、俺はいつしか自分を抑えられなくなっていた。俺は我を忘れてずかずかと踏み込み、彼の両肩を掴んで無理矢理振り向かせる。
「龍太、アカン!」
俺の行動に、状況を見守っていた矢村が制止を求める声を上げた。しかし、俺は手に込める力を緩めようとはしなかった。
ゴロマルさんが余裕ぶっこいた顔で、言い放った一言を聞くまでは。
「――お前さんがいなければ、わしはそう割り切るしかなかった」
「お、俺が……?」
こんな時に、ゴロマルさんは何を言い出すんだ? 俺がいなければ……って、俺に何ができるってんだ?
「龍太君。お前さんには、話しておかなければならんことがあってな。そっちから来てくれたのは都合が良かった」
「な、なんだよ。どういうことなんだ!」
「今にわかる。お前さんが剣一を倒し、『王子様』となる方法がな」
彼は小柄な身体を活かして、肩を掴む俺の力からすり抜けると、トコトコと地下室に向かいはじめた。
「ちょ、ちょっと! どこ行こうってんだよ!?」
「お前さんに会わせておきたい人がおってのう。ついて来なさい」
ゴロマルさんは詳しい話をすることなく、ただ悠長に階段を下っていく。……早く救芽井を助けたい俺には、じれったくてしょうがないわけで。
「ああもう、なんだってんだよ! とにかく、行くぞ矢村!」
「ええ!? あ、うん……」
矢村の手を握り、俺はゴロマルさんのあとを付いていく。彼が救芽井のことを見捨てていないのなら、何か状況を変える方法があるのだと期待して。
……俺が古我
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