第4章 呼ばれざるヒーロー
第28話 彼女を探して
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それでも俺は、言われるがままに彼女をほったらかすことはできない。
――あんな別れ方しといて、はいそうですかと受験に専念できるとでも思ってんのか! ナイーブな思春期の女々しさナメんなよ!
――とは言ったものの、時間が経つばかりで、一向に彼女の姿を見つけることは出来なかった。古我知さんもあれっきり見つからず、交番に行っても「フラれたのかい?」とおちょくられて終わりだった。うぜぇ……。
「ヒ、ヒィ、ヒィ……み、見つからねぇ……! もうかれこれ三時間は歩き回ってんぞ……!」
これだけ探し回っても収穫なしとは、さすがにキツイ。
息はどんどん白くなり、上着の下も汗ばんできた。
おまけに足はガタガタだし、頭もなんかぼんやりしてきてる……。
「もっ……もう夕暮れやし、廃工場に行ってしまったんやない……?」
さしもの矢村も、俺に付き合ったばっかりにクッタクタの様子。
なにからなにまで申し訳なさすぎる……!
「……いいや。この時間帯は商店街周辺の警察が交代する頃だから、今のタイミングは一番警察の動きが不規則で活発になるんだ。どっちも警察の動向くらい掴んでてもおかしくないし、夜になって落ち着くまではどっちも出て来ないと思う」
辺りを見渡してみると、あちこちで警官がぞろぞろと動きはじめている。何人かが廃工場の方へ向かっているのも見えた。
さすがに、今の時間に動きがあるとは思えない。どっちも、警察に見つかりたくないのなら。
「それに、今となっては俺も矢村も『技術の解放を望む者達』のターゲットに入れられちまってる。救芽井がいない今の状況でホイホイと廃工場に行こうなんて、狼の群れに羊二匹を放り込むようなもんだ」
「……なぁ、それやったら……もし救芽井が負けたら、今度はアタシらの番ってことなんやろか……」
「古我知さんが着鎧甲冑を手に入れた段階で、それに満足して俺達をほっとく……ってことにならない限りは、そういうことになるだろうな」
だからこそ、救芽井は意地でも古我知さんに勝つつもりなのかも知れない。ファンシーなお姫様願望抱えてるくせして、「私はスーパーヒロインなんだから」だなんて啖呵切るあたり、相当思い詰めてるぞアレは……。
しかし、本当に見付からないな……まさか、マジで矢村が言ってた通りに家に帰っちまったのか?
うわぁ……さっきあんなドヤ顔で「いや……」なんて言っちまった後だから余計に恥ずい! 穴があったら入りたい! いやもうここに穴を掘ろう!
――って、あれ?
「龍太? どしたん?」
「ああいや、ちょっとね」
ふと、見覚えのある店に目を奪われた俺は、どことなく違和感を覚えてそこへと足を運んでいた。
それは、救芽井と二人でこの商店街に来た時に立ち寄った、あ
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