第27話 まさかのリストラ宣言
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うやら意識を回復させて救芽井とお喋りに興じてるみたいだけど……。
「……なにしてんの? そんなところで」
「シッ、静かにした方がいい。君に大きく関わることらしいからね」
「関わる? 俺に?」
彼は思わず聞き返す俺に強く頷くと、壁に張り付きながら、探偵よろしく二人の会話に聞き耳を立てていた。
こうした状況から推測するに、なにやら救芽井と矢村が俺に関係する話をしているらしいな。俺が話題の主体だってんなら、さすがに気にならざるをえない。
壁からソッと覗いている古我知さんの下に潜り込み、俺は二人のやり取りに耳を傾けてみることにした。
――すると。
「どうしてわかってくれんのっ!?」
バァン! と矢村が思い切りテーブルを叩いた!?
「うわ――むぐっ!」
「静かに! 聞こえるよ?」
思わず驚き声を上げそうになり、古我知さんに口を塞がれてしまう。くぅ、とうとう敵に助けられる始末か……。
……いやそれより、なんだよこの状況!? 見てるだけで鬱になりそうな険悪なムードなんですけど!?
「龍太はあんなに頑張ったのに、なんでまだ戦わんといかんの!? もうええやん! アタシらただの受験生なんやで!?」
「確かに、無関係の一般人をここまで巻き添えにしたことは、申し訳ないとは思うわ。……だけど、今はなりふり構ってられないの! 警察にも頼れないほど機密性に重点を置いていた上に、今はお父様やお母様もいない……。そんな時に素性を知られてしまったからには、変態君には外部の協力者として手を貸してもらうしかないのよ!」
「そんなん、あんたらの都合やん! あんたらは龍太を殺す気なん!?」
「そ、そんなつもりあるわけないじゃない! むしろ向こうもこっちも、死者をなるべく出さないように気を遣ってるくらいなんだから!」
……なんかどこかで見たことあるよーなやり取りかと思ったら、俺の処遇の問題かよ。まだ片付いてなかったのか……。ていうか、傍目に見ても相当やかましいぞあんたら。静かにしないと一般ピープルに丸聞こえなんですけどー!
――それに、別に俺なんぞのことでそこまで頭使うことないのに。仮にくたばったって、どうせ俺なんだから。
「そんなんに気ぃ遣うんやったら、初めからこの町に来んといてや! あの発光騒ぎやら『技術の解放を望む者達』の事件やらで、アタシも龍太も死ぬほど迷惑しとるんや!」
「……ッ!」
――なんだろう。俺がいなくなった途端、言い争いがものごっつい過激になったような気がする。こんなに切迫したようなやり取りしてたっけ?
ていうか、矢村の言い草がかなりドギツいことになってるような……。迷惑してんのは間違っちゃいないんだけど、ああもハッキリ言っちゃうと却って救芽井が気の毒に見えて来ちゃうんだよ
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