第24話 古我知さん現る
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「おやおやまぁ、みんな固まっちゃって。そんなに僕がここにいるのが驚き?」
にっくき悪の親玉――であるはずの古我知さんは何の悪びれもなく、窓際に座っていた俺の隣に腰掛けた。しれっと俺達の席に現れたこの男のふてぶてしい振る舞いに、この場の全員は絶句せざるを得なかった。
「あの強盗達に武器を与えたのは僕さ。樋稟ちゃんが龍太君を鍛えてるという情報を掴んで、どれほどのモノになってるのかが気になっちゃってね。『生身の人間は脅すだけ、手を出してはならない』っていう僕の言いつけを無視して、強盗達が変な気を起こした時はどうしてやろうかと思ったものだが……君の力は僕が思っていた以上だったようだね、龍太君」
――俺ん家に上がり込んでた時といい、なにを考えてんだコイツは!? 昨日言ってた「敵は『開放の先導者』だけじゃない」ってのは、こういうことだったのか……!
「こ、こ、この人ってアレやないん!? あのわるもんのおやだ――」
ガタリと席から立ち上がり、大声で叫ぼうとする矢村。そこから何を言おうとしているのかを察した俺と救芽井は、二人掛かりで彼女の口を完全バリケード封鎖した。こんな公共の場で滅多なことは叫ばないで頂きたい! 人に聞かれるから! 全部が水の泡になるから!
矢村は古我知さんとは初対面であるが、前もって救芽井から彼の助手時代の写真を見せてもらっていたため、人相を知っていた……のだそうだ。現にいきなりの親玉出現に、驚きと敵意を隠せずにいる。ヤムラボーブリッジ、封鎖出来ませんッ!
「むがむが!」と暴れる彼女をなんとか抑えつつ、俺達二人はジロリと古我知さんにガンを飛ばす。明らかに俺達全員に敵視されているにもかかわらず、当の本人は涼しい顔でわざとらしく肩を竦めていた。
「ひどいなぁ。僕はただ君達が楽しそうだったから、ちょっと混ぜてもらいたかっただけなのに」
「ふざけないで下さい。何のつもりですか剣一さん!」
未だに暴走を止めない矢村にチョークスリーパーを決めながら、救芽井が詰問する。おい、ちょっとは手加減してやれ。
「何のつもりって……お喋りしたくて来たに決まってるじゃないか。主に一煉寺君と」
「変態君に……!? 彼に何の用があるっていうんです?」
「う〜ん、樋稟ちゃんには口出しして欲しくないんだなぁ。これまで着鎧甲冑に関わって来なかった、『素人である龍太君と話す』ことに意味があるんだから」
そこで一旦言葉を切ると、「ねっ?」といいたげな表情でこっちに目を向けて来る。んなこと俺が知るかっつうの……。
救芽井は一瞬俺の方に視線を移すと、「こんな人に騙されちゃダメ!」と目で訴えてきた。こっちだって酷い目にあわされかけ――いや、既にあわされたことがあるんだから、いちいち言われなくたって言いなりにはならね
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ