第23話 敵とのエンカウント率が異常な件
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は水槽の傍で倒れ伏している店員さんに目を向ける。やっべぇ、水ん中に頭突っ込まれた後に捨てられたまんまだ!
「ぐったりしたまま動いとらんのやけど……まずいんやないん!?」
「くそっ、オッサン達に気を取られすぎた!」
「まだ間に合うかもしれないわ。来て!」
素早く店員さんのところへ駆け寄る救芽井に続き、俺と矢村は動かなくなっている彼の傍に向かう。
「ど……どうだ? 救芽井」
「呼吸が完全に止まってるわ。相当水を飲んだみたい」
「たた、助からんの?」
「『救済の先駆者』の機能を使えば、応急処置くらいなら出来るわ。でも……」
解決策はあるようだが、そこで救芽井は言葉を濁してしまった。気まずそうに視線を泳がせている辺り、どうやら俺に「腕輪型着鎧装置」を託した時のように、周囲に正体がバレる事態を怖がってるらしい。
辺りを見渡してみると、客は全員テーブルの下に隠れてブルブル震えていた。どうやら、俺がドアを吹っ飛ばしたことでみんなビビりまくってしまったらしい。もう敵はいないってのに、いつまで固まってんだよ……。
まぁ、あれ以降も俺達と強盗が戦ってる音が響き続いてたんだし、強盗達がいなくなった今も「まだ何かあるんじゃないか」と勘繰って出て来ないのはしょうがないのかもな。
それに、これなら俺が着鎧したこともうやむやに出来そうだ。それに、救芽井が着鎧してもバレずにやり過ごせるかも! プロフェッショナルの彼女に「救済の先駆者」を任せれば、応急処置なんてお茶の子さいさいだろうし。
……う〜ん、だけど今から救芽井に着鎧させるとして、その瞬間に客が安全を確認して出て来る可能性もないわけじゃないし……。
――あーもう! なんでノータリンな俺がこんなに頭使わなくちゃいかんのだー! これというのも、全部手榴弾とかピストルとか持ち込んで来るオッサン達のせいだぁー!
……ん? 手榴弾?
――それだッ!
「救芽井、要は着鎧する瞬間を見られないように『絶対に人に見られない時間』があればいいんだろ?」
「え? そ、それはそうだけど……」
「よぅし、俺に任せとけ」
不安げな表情を浮かべる彼女を元気づけるように、俺はドンと胸を叩いて立ち上がる。
そして、すぅーっと息を吸い込み――
「皆さんッ! 落ち着いて聞いてくださいッ!」
――思いっ切り叫んだ。この喫茶店の隅から隅まで届くように。
「ちょ、ちょっと変態く――」
「シッ!」
いきなり何をするのかと目を丸くする救芽井を素早く鎮め、俺は言葉を繋げる。ここで話を中断させようものなら、「なんだなんだ」と人が出てきてしまうかも知れないからだ。
「強盗達は逃げ出しましたが、この喫茶店に手榴弾を置いて行きました! しかも安全ピンが外
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