第23話 敵とのエンカウント率が異常な件
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その瞬間、俺にしか聞こえない警告音が鳴り響き、「救済の先駆者」のマスク越しに見る視界が赤く点滅した。
――これは、銃器や刃物に反応する「武装センサー」によるものらしい。訓練の時は「自分自身の注意力を養うため」に敢えてオフにされている機能とのことだが、今回は実戦だけあって、危険な武装を感知して警告するシステムが遺憾無く発揮されている。
……要するに、今オッサンは懐から凶器を出そうとしてる、ってことだ。それがなにかはともかく――これ以上好きにさせるつもりはない。
右足を前に出し、後ろにある左足で地面を蹴り、すり足の要領で前進する。普通なら十数センチ前に動くだけの移動方法だが――
「う、うおおっ!?」
――着鎧甲冑の運動能力に掛かれば、それすらも相当な距離とスピードを生み出してしまうらしい。
数メートル離れた場所から、たった一回のすり足移動で目と鼻の先まで接近されたことに、オッサンは思わず驚きの声を上げていた。
もちろん、その拍子に生じる隙を見逃すほど俺はバカでもないし、甘くもない。右肘を脇腹に当てて脇を締め、その腰の回転で打ち出すように右拳を放つ。
「ご……!」
「『正義は必ず勝つ』ってな。そーゆーわけだから、いい加減くたばりな!」
その拳は我ながら見事に、顎の急所「三日月」を捉え、オッサンの意識を吹き飛ばした。
彼は全身の骨を引っこ抜かれたかのようにノックダウンしてしまい、ピクリとも動かなくなった。まぁ、脈はあるみたいだから死んじゃいないけどな。
そして、念のためにと懐をまさぐってみると――出てきたのは手榴弾!? ちょ、こんなもん使う気だったのかよ!?
起き上がってきた救芽井も、俺の手にある兵器を前に戦慄していた。
「うそ……ただの強盗が、なんでこんなものを……!?」
「ま、まぁ、安全ピンは抜かれちゃいないし、平気だろ。これで全員片付いたな……いや、もう一人!」
――確かに二人は片付いたが、まだ仲間がいたはず。そう、みせしめに店員さんを水槽に突っ込んでいた奴だ!
「ひ、ひぃぃっ!」
俺がそいつの方に目を向けると、あっという間に恐れをなして逃げ出してしまった。武器を二つも用意してる仲間がやられたんだから、不利だと思ったんだろうか?
「……って、冷静に分析してる場合じゃねぇ! 待ちやがれ!」
「待って!」
逃げ出した残りの強盗を追おうってところで、救芽井に呼び止められてしまった。無視して取っ捕まえに行きたいのは山々だが、さっきまでオッサンに苦しめられていたこともあるし、彼女を放っておくのは忍びない。
「この強盗達の武器も気掛かりだけど、それよりも今はあの人を救わないと!」
「あの人……? ――あっ!」
彼女の言葉にハッとして、俺
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