第20話 変換ミスには気をつけよう
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の返り討ちに遭うのが関の山。あの戦闘兵器に対抗できる手段が見つかっていない以上、彼自身の動向から弱点を探るしか打開策はないわ。どんなに強い兵器を持っていても、どんなにたくさんの機械人形を従えていても、『古我知剣一』はただの『人間』なんだから」
「じゃあ、いわゆる『張り込み』みたいなことするん?」
「そうよ。この商店街をスタート地点に、少しずつ例の廃工場を目指すわ。私はこの町の地理は詳しくないから、二人の協力が必要になるわね」
ぬえぇぇぇ!? 俺一人ならいざ知らず、矢村にまで殺人罪に巻き込もうと言うのか!?
ダメダメ! そんなのお父さん――じゃなくても許しませんよ! 地獄には俺みたいな穀潰しがお似合いなんだからなッ!
「ちょっと待ったぁ! 廃工場までの案内なら俺一人でも出来る! だから矢村だけは巻き込まないでくれ!」
俺は恥も外聞も捨てて、縋り付くような口調で救芽井に迫る。急に切迫した顔になった俺に動揺したのか、彼女の面持ちにも焦りの色が浮かんで来ていた。
「きゅ、急にどうして?」
「どぉぉしてもだッ! 俺は一昨日のことがあるし、一度深く関わっちまった以上は仕方のないことだと思うよ!? だけど、矢村は本当に、単なる『とばっちり』なんだ! これ以上危ない橋を渡る一般ピープルは俺だけでいい! 俺にはお前を止められるだけの力はないし、助けてくれた恩もある! だから、だから地獄には俺一人で堕ちるから、矢村だけは勘弁してやってくれぇぇぇ……!」
矢村には、今まで勉強を見てもらったり、いろいろと気に掛けてくれていたことがある。そんな彼女に、殺人の共犯を強いることなど、できるはずがない! どうせタイーホされるなら、犠牲は一人でも多く減らさなきゃならない……!
兄貴、親父、母さん、ごめん! 冷たい牢屋に入れられても、家族のみんなのことは、絶対に忘れないからなぁぁぁ!
「りゅ、龍太……! アタシのこと、そんなに心配して……!」
矢村は目尻に涙を浮かべつつ頬を赤くして、両手で口を覆っている。どうやら、殺人罪に巻き込まれる恐怖から解放される喜びを、全身で噛み締めているようだ。
そうだよな、こんなの怖くて当たり前だ。だから、もう泣かなくていい。全ての罰は、俺が背負うッ!
しかし、その一方で救芽井は何かしら腑に落ちない表情を浮かべている。俺が何かおかしなことを言ったのだろうか?
「えーっ、と……矢村さんを巻き込みたくないっていうのはわかるんだけど……『私を止める』ってどういうこと?」
「な、なに言ってんだ!? お前が古我知さんを殺すだなんて言い出すから――!」
「――はい?」
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