第16話 午前は訓練、午後は勉強。……休みは?
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変態君も、そんな場合じゃないっていうのがわからないの!?」
「確かにそうかもしれん! そうかもしれんけど――やからって、こんなん龍太が可哀相や! それに……こんなんばっかりになってしまったら、アタシらがアタシらじゃなくなっていくみたいで、怖いんや……」
……おお、なんか対立が深刻になってないか? なまじ両方とも正論だから、なんとも言いづらい。
――二人共、今後のことについて真剣に考えてくれてんだよな。ありがたいけど、俺にはもったいない気遣いだ。
「樋稟や。今日のところは賀織ちゃんの言い分を聞いてやればどうじゃ」
「お、おじいちゃん!?」
そこへ口を挟んできたのは、なんとゴロマルさん。どうやら、矢村の気持ちを汲んであげてるみたいだ。
「メディックシステムは怪我や体の疲れは取り除けても、精神的な疲弊までは治療できん。メンタルヘルスの面で見ても、休息は立派な訓練の一つなんじゃよ」
「で、でもっ……」
「それに、今朝の訓練で彼は随分と腕を上げておったではないか。たった二日の訓練で、『解放の先導者』の猛攻をかわせるようになったんじゃから。お前がそれくらいのレベルまでこぎつけるには、一週間は要しただろう?」
「〜〜ッ!」
ゴロマルさんの追及に、救芽井はぐぅの音も出ない、という表情になる。まぁ、男と女じゃ運動能力の差異ってのはあるのかもな。それでも今の時点じゃブッチギリで俺の完敗なんだけどね。
「どうじゃ? お姫様になりたいんじゃったら――もっと器量を持たなくてはのぅ?」
「も、もぉぉぉッ! わかったわよ! 今日はおじいちゃんに免じて、好きにさせてあげる! だけど、明日のしごきは今朝みたいに優しくしてあげないんだからねッ!」
「ホ、ホントなんっ!? やったぁぁぁ! ありがとぉ救芽井ッ! やった、やったで龍太っ!」
「か、勘違いしちゃダメよ! あくまで『休息』として、なんだからね! 調子に乗ってデートとかに連れ出したら承知しないわよ!」
「それでもええ! なんでもええ! 龍太のために時間取れるんやったら、なんでもええよ! きゃはーッ!」
ようやく折れた救芽井の返答に、矢村は両手をブンブン振りながら大歓喜。俺の背中をバシバシ叩きながら、地上まで飛び出して行きそうな程のハイテンションになっている。
俺の受験勉強の時間を確保できたってだけで、我が事のようにここまで喜ぶなんて……ちょっとビックリだ。
――こりゃあ、もっと勉強頑張らないと矢村に申し訳が立たないなぁ〜……。嬉しいやら、悲しいやら。
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