第3章 デートという名のパトロール
第15話 厄介事にお一人様追加
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はちゃんと言わなきゃ俺の気が済まない。
「――ッ! だ、だからいいってば! そんなの……」
彼女はますます顔を赤くして、そっぽを向いてしまった。
……ん? 待てよ。俺、なんか忘れてるような……。
えーと、夕べのことで確か矢村に――
――あ。
「龍太ぁぁぁぁ〜〜ッ!」
噂をすればなんとやら。……いや、噂はしてないけど。
……そう、俺が忘れていたこと。それは、矢村に無事だという連絡をしておくことだった。
夕べはあのドタバタでくたびれたせいで、それをしておく暇もなく眠ってしまったわけで。おかげで風呂にも入れてない……。
あんなことがあったのに、連絡の一つも入れずに放置していた結果がこれだよ! 俺は涙を目に溜めた矢村の突進を受け、後頭部からアスファルトにダーイブ! ごふぁ!
「龍太、龍太! 怪我しとらん!? どっか痛ない!? 大丈夫なん!? 警察に電話しちゃいかんとか言い出すし、連絡も寄越さんし、ホント何かあったらどうしようって……!」
「いや……あの……矢村さん。今しがた死にそうでございまする……」
アスファルトが雪に覆われていなければ……即死だったッ……!
「た、大変やぁぁーッ! 救急車、救急車! 110番やーッ!」
「それ警察……ぐふっ」
俺の上に馬乗りになったまま、パジャマの上にジャンパーを羽織った格好の矢村が、一人でパニクっている。そんなナリでここまで来る辺り、よっぽど心配してくれてたみたいだな。ぐすっ、いい奴だホントに……。
「ちょっと、矢村さん! これから変態君には大事な訓練があるんだから、迂闊に怪我させるような真似しないで!」
「……! 出たな! 訓練だか何だか知らんけど、龍太は受験生なんよ! 勉強が大事に決まっとるやろ!」
気がつけば、俺に「訓練」をさせようとする救芽井と、「勉強」をさせようとする矢村の対立構図が出来上がっている。どっちに転んでもしんどいのは一緒なんですけど……。
「だいたい、夕べのアレはなんなん!? 龍太、説明せんかい!」
「いや、それはその……」
「あなたには関係のないことよ! さぁ変態君、家に来なさい! 昨日の分までみっちりしごいてあげるから!」
救芽井は問答無用といわんばかりに、矢村への返答に困っていた俺の腕をむんずと掴み上げ、強制連行しようとする。
「――関係ないことないやろ! ようわからんけど、龍太が危険な目に遭っとるんやとしたら、アタシにも関係あるッ!」
……その時、矢村は無理にでも我を通そうとする救芽井に釘を刺すように、声を張り上げた。俺はもちろん、救芽井も少なからずたじろいでいる。
「な、なによ……!」
「確かにアタシは、何の事情も知らんけど――やけど、龍太があんなに必
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