第五十四話 エル・ファシル真の英雄・後編
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で敵前逃亡者として報道して居るとのことです、悔しくありませんか」
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「俺に何をさせたいんだ」
「いえ大したことではありません。事実を話して頂ければ良いだけです」
暫く考えてから
「判った話そう」
宇宙暦788年帝国暦479年12月24日
■自由惑星同盟 ハイネセンポリス
エル・ファシルの英雄としてヤンがもみくちゃにされた日々が終わり。
幾分暇になり、キャゼルヌ先輩から託された、
ブルース・アッシュビーについての事を調べだし、
アルフレッド・ローザス提督の葬儀が終って3日経ったこの日。
同盟及びフェザーンに於いて、
クリスマスプレゼントとしては最悪である、驚愕の放送が各種メディアで流された。
所謂エル・ファシルの戦いの本当の姿と称する物であった。
リンチ司令官が300万人を守る為に自身を囮として30倍の帝国艦隊に立ち向かったこと、
その隙を突いてヤン中尉に民間人300万人脱出を命令していたこと、
降伏後『自分の命はどうなっても良いから民間人の命を助けてくれ』と言ったこと。
その行為を皇帝が騎士道精神として絶賛した事。
そしてエル・ファシルのヤン中尉の部屋からリンチ少将が密かに渡した自らが囮になるという脱出計画の命令書が破った状態で発見されその原文も映像で発表されたのである。
同盟政府はその放送を止めさせようと躍起に成ったが、
ネット上に流れた映像は次々にコピーされ繰り返しUPされ消し去ることが出来なかった。
同盟市民は最初は信じようとはしなかった。
しかし直ぐに驚愕した、その文書は確かにヤン中尉のサインがある文章だったのである。
サイン自体を偽物と疑う者もあったが、
エル・ファシルの英雄として渋々ヤンが書いたサインと瓜二つだったのである。
たちまちヤン中尉に対するバッシングが始まり
エル・ファシルの英雄はペテン師、エル・ファシルの簒奪者、同盟の恥さらしと騒がれはじめたのである。
自宅には投石がされ、誹謗中傷の手紙が舞い込み、
嫌がらせの電話が毎日にように掛かり、
捕虜となった他の兵士の家族からは罵倒されたのである。
ヤンにしてみれば好きで成ったのではないし、
あの文章は自分は知らないのだが言っても信じてくれないだろうと黙りを決め込んで、
嵐の去るのを待つことにしたのである。
TV電話が鳴る、今日も罵倒と嘲りだ無視していると、
「ヤン居るんだろう」キャゼルヌ先輩からの電話だった。
「ヤン大変だな、虚偽だと判らずに市民が動いてしまう。
市民感情は恐ろしもんだよ、
それで軍上層部が元英雄様にエコニアに行けとの命令だそうだ」
「エコニアですか、彼処は捕虜収容所ですよね」
「ああ開店休業中の収容所
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