精神の奥底
71 Revolt 〜前編〜
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正確には半ば焦り過ぎて、祐一朗もやけくそ気味に言ったのだが、それが本当に笹塚にとっては大きな助けとなった。
『オレ!酔ってたとしても嬉しかったです…!こんなオレでも振り向いてくれたのが本当に嬉しかったッス!』
『笹塚くん……分かった。友達から…ね?』
『よし、行け!ロックマン!!』
「了解」
笹塚が足止めに成功したのを確認すると、炎山が指示を出した。
その合図と共にロックマンも留置所の扉のロックを開いた。
すると普通なら一生味わうことの無いであろう重く冷たい何かに襲い掛かってくる。
「う……」
ロックマンは顔をしかめた。
これまで味わったことの無いタイプの負のオーラに満ち溢れたその空間は、いるだけで自分の中で何かドス黒い感情が湧き上がってくるようだった。
これまでにこれに近い経験があるとすれば、あの忌まわしいウラインターネットくらいのものだ。
「…熱斗」
しかしロックマンはすぐにそれを乗り越える。
これまでの経験で培われた忍耐力の強さがあったことは言うまでも無いが、それ以上に熱斗が、弟がこの空間にいると思うと怖気づいてはいられなかった。
弟の性格を知り尽くしているからこそ、これがどれほど辛いことか想像するのは難しくなかった。
改めて覚悟を決め、奥に奥へ進んでいく。
「お疲れ様です……」
「あっ……!?お疲れ様です。あれ?交代には早いですけど?」
奥のデスクにいた看守に声を掛ける。
居眠りしかかっていたのか、ガタッと音を立てて立ち上がり、驚かされた。
そしてやはりと言うべきか、シフト外の時間に現れたことを疑念を持たれた。
しかしそれも織り込み済みだった。
急場しのぎではあるが、計画の肝となる部分だけは時間を掛けている。
一字一句正確な台本など無く、大まかに何を言うか程度しか決めていなかったが、そこは持ち前の演技力でカバーした。
「ええ。でも、あの子たちのことが気になってね。もう丸一晩以上、まともなものを口にしてないし。見てられなくて」
「いいんですか?新課長の許可は……?」
「取ってない、100%私の独断。何かツッコまれたら、私に口止めされたってチクっていいから」
「あっ、はい…分かりました。でも口止めついでに今さっきまで居眠りしてたことは……」
「分かってるって」
ロックマン自身、女性口調で芝居をするなど初めての経験だったが、あっさりと成功した。
自分でも恐ろしい程、自然に役になりきっていた感覚がある。
今ならばあの響ミソラとでも共演できるのではないかと思えた程だ。
しかし次の瞬間には安堵感に包まれ、看守に背を向けた途端に顔に出た。
そして再び緊張感と共に足を進める。
「……あっ」
熱斗たちがいる牢はすぐに見つかった。
普通なら十
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