ペルソナ3
1923話
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では、恐らく10分……もしくはそれ以上だが、20分は経っていないだろう。
そのくらいの時間が経って、ようやくゆかりが口を開く。
「あのね、アクセル」
小さい呟き、
普段の自信に満ちたゆかりの言葉とは比較出来ないような、そんな声。
俺はそんなゆかりの言葉に、何を言うでもなく視線を向ける。
俺の態度は、ゆかりにとって悪くはなかったのか、ゆかりはベッドの上に座ったままで数秒黙ると、再び口を開く。
「今日、弓道部があったでしょ?」
「そうだな」
タルタロスで実戦経験を積んでいる影響で、ゆかりの弓の実力はかなり増している。
それこそ、顧問よりも上……いや、大会があれば優勝してもおかしくないくらいには。
そして、弓道部のエースと呼ばれるようになったからか、迂闊に部活を休めなくなった、というのは以前にちょっと聞いた覚えがある。
後輩の中には、お姉様と呼んでくる部員もいるとか何とか。
……お姉様は桐条の方が似合いそうな気がするんだが、まぁ、それはそれか。
ともあれ、弓道部に真面目に通っているというのは、俺にも理解出来た。
ただ、ここで弓道部についての話が出てくるという事は、もしかして部活の方で何かあったのか?
ゆかりのように圧倒的なエースという存在がいれば、やはり当然ながら嫉妬をする者も出てくるだろう。
もしかしてそっち関係か? と、ふと思う。
だが、それが俺の考えすぎだったというのは、次にゆかりが口を開いたことではっきりとする。
「それで部活が終わって帰る時、途中で何かを話している女の人達に遭遇したのよ。あれは、多分……隣のクラスの人達だったと思う」
「隣のクラス、か」
隣のクラスというのは、俺にとってはあまり興味がない。
一番興味深いのは、有里が山岸と一緒に行動するようになったという事か。
あの山岸ってのも……よく分からない相手なんだよな。
苛められているのに納得しているのかと思いきや、有里に助けを求めているようにも思える。
正直なところ、具体的にどういう奴なのかというのが疑問だ。
まぁ、有里が自分から進んで山岸と接触しているのを思えば、敢えて俺が何かを言う必要もないんだろうけど。
「うん。それで、有里君が山岸さんと最近仲がいいじゃない」
「……ああ」
まさか、俺の考えている事が見事にヒットするとは思えず、ゆかりの言葉に驚く。
となると、ゆかりが元気ないのは、山岸に関係している事なのか?
「その人達、何か山岸さんを苛めてる時の事を、嬉しそうに話してたのよ」
「……なるほど。それでゆかりがそいつらに何か言ったと?」
もしこれで、ゆかりと山岸が全く面識のない相手であれば、その話の内容を不愉快に思っても、結局はそれだけの話だ
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