ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
2章 生き様
10話 ある日のこと
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ている。それを、ほとんど権力もない、ただのソロプレイヤーに何ができるというのだろう。口をつぐむことしかできない。だが、キリトの鋭い目は、アスナをにらみ続け、反発の意を示していた。
その時…
「私の大事な弟をあんまりいじめないでもらっていいかな?閃光さん?」
垂れこめた空気に一閃の閃光が走った。一つの声が洞窟に響き渡る。
そう言って、洞窟に入ってきたのは、2人のプレイヤーだった。一人は薄紫と桜色のグラデーションが美しい戦闘服に、長剣ほどの長さを持つ片手剣を腰につるした女性プレイヤー。もう一人は、黒を基調に、白銀が装飾が入っているコートを羽織り、背に、長い槍を背負った男性プレイヤー。入り口から入る光の逆光で、非常に神々しく見える。
女性プレイヤーは中央へ歩きつつ、キリトにウィンクした。キリトはどちらかといえばうれしいというより、面倒なことはしないでくれよ、という顔をする。が、そんな彼の心情が女性プレイヤー…リアに伝わったかは皆無で、彼女はゆっくりとした足取りでアスナの目の前に立ちはだかる。
「っ…別にいじめているわけではないです」
アスナが苦虫をかみつぶしたかのような顔とともに弁解するが、リアは笑顔のままだった。…いいや、それだからこそ逆に恐ろしい。
「その割には、ずいぶん高圧的な感じだったね」
「……」
2人の登場に、あたりは静まり返っている。この2人こそ、この世界最強と名高いコンビである、オールラウンダーこと、リアとツカサなのだ。
「…オールラウンダーは、今回の攻略会議は休みだと聞いていたのですが」
「まあ、本当はそのつもりだったんだけど、うちの大事な弟のヘルプが聞こえたから、来ないわけにはいかないでしょう」
リアは少々おどけたように言う。その態度が気に入らないのか、アスナの眉がギュッと引き寄せられる。
「それにしても、NPCを囮に使うだなんて、随分冷酷な手段をとるんだね」
「NPCはフィールドにある物と同じです。耐久値が減ればポリゴンになりますが、またリポップする」
「だからって、人型のものが無抵抗に殺されている姿はあまり見たくないな」
「あれは“人型”であって、“人”ではありません。ただのオブジェクトです」
アスナは、リア相手にもそう言い放った。キリトもアスナの気持ちがまったくわからないでもない。アスナは42層から血盟騎士団の副団長に任命された。なにせ、ほとんどのプレイヤーは自分よりも年上の人間なのだから、彼らを従わせるためにはそれ相応の威厳と力がいる。恐らくまだキリトと同じく10代であろうアスナにはかなり荷の重い立場だろう。
だが、アスナの言葉は、リアの何かに引っかかってしまったようだった。ずい、とアスナに顔を近づける。口
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