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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 @
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であれば仕方ありませんね」
では、一人だけでも、と。そう告げた彼女は、言葉を紡ぐ。
「罪状、同族殺し、通称“串刺しの魔王”。殺害人数は甚大、その方法は残虐。いかなる理由があろうとも、許されるものではありません」
「ごもっともだ。その件について、私に一切の言い訳はないよ」
「ではそれについてはこれで。次に、この罪に対してそれを雪ぐだけの行動をしているか」
目を隠した女神は、その事実を告げる。
「当然、否です」
「ちょ、ちょっとお待ちを!」
しかし、それに対して黒ウサギは反論する。飛鳥、耀の二人もまた、それに同意する表情だ。
「確かに、事情があったとはいえレティシア様の行ったことは許されないことです。ですが、それに対する禊としてご自身に、様々な制限をかけました!ユースティティア様のおっしゃっていたディストピア、アジ=ダカーハ双方の戦いにも参戦しておられます!当然その他の魔王とも幾度も、自分の命をかけて」
「確かに行動の中身はその通り。ですがそれは、度合いによってその罪を軽減させるだけのことは出来ても、雪ぐことはできません」
「その者の罪。それを雪ぐだけの禊を決めることが出来るのは、まず第一に『被害者』。第二に、そして被害者の要求が過度なものであった時いさめることが出来るのは、それだけの権限と責任を持つ者だけです。それ以外の者によって決められたものなど、なんの意味もなさない。自分で定めたものなど、論外もいいところです」
人を定めることが出来るのは、本人以外。自分にだけは、自分を定めることはできない。
彼女は、はっきりとそう告げた。自分で自分を見たとき、それを本当に正しく見ることが出来る者は存在しない。
驕り、本来より高く定める。
自らを低く見て、圧倒的にダメな者とする。
過剰な例はこれだが、程度の差こそあれ、物によって変わりこそすれ、必ずこのようになる。これも自分には自分を定めることが出来ない理由の一つだ。だが、大きな理由でもない。
最大の理由は、非常に単純。
「どのような社会であろうとも。人は、他者の中でしか生きられない。人は、他者の評価でしか定まらない。そのようにできているのですから」
そう、ただそれだけのこと。本来は賢神にして善神でありながら、魔王の烙印を押されたクロア=バロンがいい例だろう。少なくとも現代においていうのなら彼が魔王の烙印を押された際、双方の主張において正しいのは彼のものであった。だがそれでもその他多くの神群は逆の主張をし、魔王の烙印を押し、現に魔王となった。
「彼女の罪状について、その全てはこれで終わりとします」
その言葉とともに、ユースティティアの手の天秤が傾いた。
傾いた。天秤である以上、次に行われるのは逆側へ釣り合う質量を乗せる
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