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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
正義の執行 @
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ユースティティアという女神は、その性質、役割からいくつかの制約に縛られ、同時にいくつかのギフトを授けられている。
では、その役割とは何であるのか。それは、外界のある行いに対してその名を貸していることである。一切の介入はせず、名を貸しているだけ。だがしかし、その行いに対しほんの少しの影響でも与えられるわけにはいかず、故にギリシア神群は彼女に対して制限を課したというわけだ。

まず、彼女の感情、思考回路へ手を加えた。元々の性質である正義、それにおいて重要である善悪を判断する能力は存在する。それに対して発する感情もまた、存在している。

故に、その行いが悪意のもとに行われた善行であると判断することはできる。
故に、その行いが善意の下に行われた悪行であると判断することはできる。
故に、その悪行に情状酌量の余地があるかを判断することはできる。
故に、その悪行に対する罰、償いを如何様にするのかを判断することはできる。
しかしそれらの基準は、決して変化しない。完全に固定されている。

何故ならば。判断する基準は、決して変わってはならないのだから。彼女の名のもとに裁きを決める者はその時々に応じて変化する、基準となる法は場所によって変化する、当然与えられる罰の形も変わるのだが、それでもその大元が変化していては意味がないのだ。
故に、彼女の思考は。善悪を定める感情は箱庭に召喚されたその時点で合意のもと固定されており、これから先成長することは決してない。

続けて、彼女に対してギフトを与えられた。こちらは、非常に単純なものが。
いわゆる不死のギフト。当然神秘がはびこり、修羅神仏がお遊び感覚で虐殺なんぞを行う箱庭の世界には不死を殺す手段などありふれているが、それでも彼女が殺される、箱庭からいない時間を減らすことが可能だ。その瞬間に外界の裁判へ及ぼす影響など、考えたくもない。

そう言った要素から成り立った、箱庭におけるユースティティア。外界の裁判という大きな要素へその名前を貸しているがゆえに、それほどまでに大きな手を加えられた、縛られし女神。

基本死ぬことはなく、死に箱庭から消えた際にもすぐさま召喚されるようシステムを組まれた、代わりの効く女神。

その状況を一人目は自分から提案し、二人目以降はためらうことなく承諾した、イカれた女神。

それこそが、箱庭から絶対の正義を許された、決して私情を挟むことなく、正しく悪を決定することのできる存在。
一輝の言っていた『人類永遠の課題』。その一つ『善悪の基準』の人類最終試練が現れるとすれば・・・その担い手は、彼女である。

はてさて、そんな彼女が、自ら軟禁を望んだ彼女が今回それを破ったのは・・・ありえないはずの精神的変化をもたらされたのは、一体何が原因なのだろうか。



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