【繋ぐ意味を求めて】
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母ちゃんが強く抱きしめてくる。……それが今は、たまらなくうっとおしくて、オレは両手で突き放した。
その拍子に、母ちゃんはテーブルの角に片手を強くぶつけたらしくて、少し痛そうに顔を歪めた。
「あ、ご……ごめん、母ちゃん」
「ううん、いいのよ。私の方こそ……ごめんなさいボルト」
その哀しそうに微笑を浮かべてオレを見つめる表情は……ほんとにオレのことを見てくれてるんだろうか。
「──どおしたのぉ、お兄ちゃん、お母ちゃん……」
ヒマワリがオレと母ちゃんの話し声やさっきのぶつかるような音を聞きつけたのか、眠たそうに片目を擦りながら、二階から降りて来た。
「あ……ごめんなヒマワリ、起こしちゃったか?」
「ボルト……、ヒマワリを寝かしつけてあげて。私は、もう少しだけ起きてるから」
母ちゃんにそう言われて、オレはそれ以上何も言えずヒマワリを連れて二階に上がるしかなかった。
「なぁヒマワリ……オレの名前、どう思う?」
「お兄ちゃんの名前……? かっこいいよ、ボルトお兄ちゃん」
「そっか……ありがとな、ヒマワリ。──おじさんもオレも、部品なんかじゃないよな」
「え? なぁにお兄ちゃん、よく聞こえなかった」
「あ、いや、何でもないってばさ。……ヒマワリのことは、兄ちゃんが絶対守るから、安心して眠れってばさ」
「うん、ありがと……。ヒマだって、お兄ちゃんのこと守れるようになるからね……」
ヒマワリはかわいくにこっとしてそう言ってくれたあと、すやすやと眠りに落ちた。
守る、か……。オレはこの先、何を守っていけるんだろう。──いや、さっきヒマワリを守るって言ったばっかだし……
命を、懸けて……ネジの、おじさんみたいに……?
それがいつか、出来るんだろうかオレに。
──出来れば生きて、守り続けていきたい。
死んじまったら、それ以上守れなくなるから。
ネジのおじさんだってほんとは──・・・生きて、守り続けたかったことがたくさんあったはずだ。
オレはおじさんの代わりじゃないけど、ネジおじさんが繋いでくれたこの命と名前、もっと先に繋げて行くくらいなら出来るはずだから……
オレにとって大切なものを守り続けていけるように、強くなるってばさ。
《終》
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