【繋ぐ意味を求めて】
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オレっていうよりか、オレを通してネジのおじさんに繋げてほしいってことじゃねぇの?
オレは、母ちゃんの兄ちゃんの代わりじゃないってばさ。
「──・・・母ちゃんは本当に、父ちゃんのことが好きで結婚したのかよ」
「……え?」
夜中に目が覚めて、その時母ちゃんがまだリビングで起きてたみたいだから淡い明かりが灯る中、疑問に思っていたことを口にした。
「もちろんよ、何を言い出すのボルト」
母ちゃんの月白の眼が、オレを真っ直ぐ見ていないのが分かる。笑顔を見せようとして、失敗して困ったような顔になってる。
「オレの名前……ネジのおじさんに由来して“繋ぐ”って意味なんだよな。母ちゃんは、ほんとにおじさんが繋いでくれたから父ちゃんと一緒になったのか?」
「・・・───」
母ちゃんは、ふとオレから視線を逸らして、少し間を置いたあと呟くように言った。
「ネジ兄さんが、私とナルト君を命懸けで守って命を繋いでくれたから、一緒になったわけではないの。本当は、私が……私自身が、繋ぎ留めたかったから。私の中の、ネジ兄さんの存在を」
母ちゃんは、リビングに飾ってある写真立てに目を向けた。……そこには、上忍だったおじさんとツーショットではにかんでいる笑顔の母ちゃんが写ってる。ネジのおじさんの写ってる写真は大体仏頂面が多いけど、母ちゃんと二人で写ってる数少ない写真では、微かに優しそうに笑ってるように見える。
「母ちゃん……やっぱほんとは、父ちゃんよりイトコの兄ちゃんの方が───」
「ボルト、私はね……火影になるナルト君と繋がる事で、亡くなったネジ兄さんに報いたくて、私の中にも確かに流れているネジ兄さんの血を、次世代に繋ぎたかったのよ」
「それが……オレとヒマワリだって言いてえの? ──それってさ、母ちゃんがネジの兄ちゃんのために父ちゃんを利用したってことにならねえ?」
「ナルト君も、承知の上なの。私の気持ちを、汲んでくれたのよ。ネジ兄さんが私とナルト君を仲間として命懸けで守ってくれたのなら……私とナルト君がネジ兄さんを介して繋がる事で、ネジ兄さんの生きた証も伴って未来に残していけるものがあるって──」
「それで……オレの名前がネジのおじさんに由来してボルトだってのか。だから母ちゃん、オレっていうか……やっぱオレの名前に、ネジのおじさんのこと見てるんだよな」
「それは……」
「──オレってば、母ちゃんの兄ちゃんの代わりにはなれねえよ」
「分かっているわ、ボルトとネジ兄さんは違う」
「分かってないってばさ。オレを呼ぶ度に、ほんとはネジのおじさんのこと思い出してるんだろ。オレの方は、見てないんだ。おじさんが生きてたら、オレなんて……ッ」
「ボルト…!」
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