復活
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ンド同士の対決に目を輝かせている。
「サインは?」
「いらない。ストレートだけだ」
打者が間にいるのに球種を言ってしまうあたり孔明のアホさ加減が伝わり失笑が漏れる。そもそも、ケガをしてリタイアした2人の対決がどんな勝負になるのかと考えると、見ていられる戦いになるのか不安になってきた。
「始めるぞ」
西村が座り勝負が開始される。セットポジションから、何度も見てきた、変わらない投球モーションに入る孔明。その手から放たれた白球を見て、捕手の西村が目を見開いた。
「うお!!」
思わず役割を放棄して横っ飛びした西村。そのスピードボールはホームベースの上を通過し、一直線にバックネットに直撃した。
「・・・は?」
何が起きたのかわからない剛は、あまりの威力にネットにめり込んでいるボールを見て目を見開いていた。
「どうした、これくらい高校の時から投げてただろ?」
「あぁ・・・そうだな」
問題なのはそこじゃない。なぜ肩をケガしたはずの孔明が、これほどのスピードボールを放れるのか、疑問だった。
「頑張ったんだよ、リハビリ。お前がケガして野球やめたって聞いてな」
「そうなのか?」
「そうだ。俺もケガして絶望した。でも、ここまで元通りに投げれるようになったんだって、お前も諦めるなって伝えたくてリハビリをこなしてきたんだよ」
嬉しそうに語るその姿に剛は思わずにやけた。まさかそんなことのためにここまで投げれるように戻して、自分の前に現れたのだと知ると、うれしいよりも気恥ずかしさが先行する。
「悪いけど、俺は諦めたわけじゃないぞ」
「だったらちょっとでも練習してたのか?プロに行くために」
そういって投球に入る孔明。またしても150kmを悠に越えるストレート。剛はそれを打ちに出ると、バックネットへのファールとなった。
「すごい・・・」
「タイミングがバッチリでしたね」
「これならもしかしたら・・・」
打てるかもしれない。そう思ったμ'sの一同。だが、マウンドにいる孔明はまるで慌てた様子はなく、踏み出した足場を慣らす。
「ったく、ファールチップだけはやめてくれよ」
「安心しろ。スタンドに叩き込んでやる」
嬉しくて堪らない。笑顔が止まらない剛は次の孔明の投球を待ち構える。
「打てるもんなら打ってみろ」
「絶対カチ込んでやるぜ」
2人の男の真剣勝負。もしスピードガンがあれば160kmを計測していたかもしれない豪速球。コースはど真ん中の甘い球。剛のバットはこれを捉えた。
カキーンッ
高々とドームに舞い上がった打球。全員がその打球を見上げ、ゆっくりと落下してきたそれは、孔明のグローブに納まった。
「俺の勝ちだぜ、剛」
「マジかよ・・・」
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