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提督はBarにいる・外伝
正規空母・赤城の話
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ませんでした。艦娘として海に出て、その怖さは嫌と言うほど知っているハズなのに。





 ーーですが、流石に胸の辺りまで水が来たら可笑しいと気付いたんですよ。『どう考えても可笑しい、これは危険な行為だ』って。そこで浜辺に引き返そうとしたんですが、足が動かないんです。まるで自分の物じゃないかのように。それどころか、私の意思に反してゆっくりとですが更に沖に進もうとします。必死に止まろうとするけど、身体が言う事を聞かない。誰かに操られているようなあの感覚は、今思い出してもゾッとします。沖に進むに連れて深くなって行く水深はついに、私の身長を越えて全身が海水に浸かってしまいました。もがこうとしても身体は動かず、為す術無く肺に海水が流れ込んで来ました。苦しくて、寂しくて……いよいよダメかと思った時に過ったのは提督の事でした。

『あぁ、あの愛しい人の下にはもう帰れないんだ。御免なさい提督』

 と、後悔の念が心を満たした時にフッと目の前がブラックアウトしたんです。恐らく酸欠で気絶したんでしょうね。その寸前、『あぁ、これは死んだな……』って何の感慨もなく思ったわ。

飛龍「というか赤城さんがシレッとノロケてる件について」

提督「飛龍」

飛龍「うん?どしたの提督」

提督「口閉じとけ。ぶっ飛ばすぞ」

飛龍「……あい」




 ですが、私は声を掛けられて目を覚ましました。目の前には心配そうに私を覗き込む舞風ちゃんの顔がありました。話を聞くと、その日の夜間警備担当の舞風ちゃんは少し遠出して砂浜の辺りまで歩哨に来ていたら偶然砂浜に横たわる私を発見したそうです。私も飛び起きて、あの光の玉は……!?と尋ねましたが舞風ちゃんには見当もつかないようでした。しかも不思議な事に、びしょ濡れの筈の身体や服が全く濡れていなかったんです。それで私は夜の散歩で疲れて寝てしまい、悪夢を見たんだと無理矢理自分を納得させました。ですがその夜以来、夜の浜辺には近付いていません。作戦中の移動などでは仕方無いとしても、進んで夜の海には近寄らないようにしています。

 これで私の話は終わりです。別にお化けや化け物が出てくる訳でもなく、ただただ不思議で不気味な感じのするお話という
事で、少し盛り上がりに欠けましたね。でも、未だに時々思うんですよ。

『もしも、あの光の玉の正体が人をどこかへ連れ去る存在だったとして、失敗したら全てを無かった事にするのはズルくないかな?』

 って。

赤城「……どうでした?」

瑞鶴「怖っ!十分すぎる位怖いよ!」

翔鶴「凄い臨場感でしたね……」

赤城「そうですか?」

蒼龍「その証拠に、加賀さんがホラ」

加賀(オフトゥン装備)「」ガクガクブルブルガタガクガクガク

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