第三章
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「そうでしょ」
「じゃあ今誰が私に言ってきてるのよ」
「風の声でしょ」
「風っていいましても」
今度はちづるが言った。
「それは無理がありましてよ」
「そうかしら」
「ちゃんと喋ってますし」
「私達ちゃんと姿も見たし」
最後にかなめが言った。
「それでどうして」
「いや、誰も来ないって思ってたのよ」
花子さんはトイレの中から薄情した。
「この学校ではね」
「噂になってるから来たのよ」
先生も花子さんに行った。
「それでこの子達が確かめたいみたいだったからね」
「私の話をね」
「それで来たけれど」
それがというのだった。
「まさか本当にいるなんてね」
「だからいないって言ってるのよ」
「まだ言うのね」
「もうここにはこの時間には来ないし」
「見付かったからよね」
「そうよ」
まさにという返事だった。
「二度とね」
「つまり来るなってことね」
「そういうことよ、この学校にはいても」
それでもと言うのだった。
「ここにはこの時間にはいないからね」
「やれやれね」
「噂になった位ならいいけれど」
「見付かったから」
「来ないわ、まあそれでもね」
「大したことはないっていうのね」
「別の場所に別の時間に行けばいいだけだし」
素っ気ない返事でだ、花子さんは先生に話すのだった。
「それじゃあね」
「ええ、またね」
「二度と来るなよ」
こうも返した花子さんだった。
「私が言いたいのは」
「そう言うのね」
「本音だから、じゃあ姿消すからね」
花子さんがこう言うとだった。トイレのドアが開き中にはもう誰もいなかった。その誰もいないトイレを四人で見てだった。
先生は三人の子供達に言った。
「じゃあね」
「はい、いることはわかりましたし」
「満足しましたわ」
「もうここには来ないって言ってましたけれど」
「満足したでしょ」
花子さんがいることがわかってというのだ。
「凄い塩対応だったけれど」
「まあ変な会い方で」
「去り方もでしたけれど」
「会えましたし」
「ならね、送るわね」
最後の最後まで担任としての責任は果たす先生だった、そうして三人を送ってから先生も家に帰って休んだのだった。以後このトイレに花子さんが出ることはなかったが。
「先生達が使うおトイレに出るの?」
「花子さん出るの」
「一番奥のところに」
今度はそこに出るという噂が立った、花子さん自身はまだこの学校にいる様だった。
トイレの花子さん 完
2017・12・30
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