第一章
[1/2]
[1]次 最後 [2]次話
身内のみ
売読ギガンテスは日本で最も歴史が古く優勝回数も一番で日本の誰もが知っている人気チームである。その伝統はかなりのものだ。
そしてその伝統を守ることに余念がない、むしろ腐心していた。
それは特にチームの指揮官である監督についてそうだった。
ファン達はチームの次期監督についてだ、現監督の長洲卯夫が采配を執っている時点で言っていた。
「中幡だろ」
「いや、士濃塚じゃないのか？」
「山蔵だな」
「西幹はどうなんだ？」
「西幹は駐日に行ったことがあるから駄目だろ」
ここでその西幹のことにだ、ファン達は話した。
「虚塵はそうしたチームだろ」
「ああ、一回他のチームに出た選手は監督になってないな」
「一度でもな」
「じゃあ西幹はないな」
「そうだな」
かつてエースだった選手だがそれでもだというのだ。
「じゃあ墨もないな」
「墨は今のフロントからよく思われてないだろ」
ストッパーとして活躍した彼はどうかというと。
「元々」
「そういえばそうか」
「ヨーグルトや世界ハムにもいたしな」
「コーチにも使おうとしないしな」
「そこは絵川以上だな」
大騒ぎで入団したピッチャーである。
「絵川なんてな」
「ああ、あいつは最初から絵川騒動なんて起こして入ったしな」
「監督どころかコーチもないな」
「絶対にな」
「あいつは有り得ないな」
「何があっても」
それこそとだ、ファン達は彼については断言出来た。
そしてだ、次期監督についてさらに話していった。
「じゃあ誰かだな」
「好村もよさそうだけれどな」
「実績が今一つじゃないか？」
「いいバッターだったけれどな」
今度はこのことが問題とされた。
「怪我で伸び悩んだだろ」
「ああ、最盛期にな」
「それで後思う様に伸びなかったからな」
「だから駄目か」
「好村はなしか」
「そうだろ、実績も大事だろうちの監督」
このことが問題だというのだ。
「だからないだろ」
「実績も大事か」
「そうだよ、タイトル獲ってないとな」
売読の監督としてどうかというのだ。
「だからないだろ」
「それ言うと中幡も駄目だな」
「士濃塚か末本か？」
「山蔵はＭＶＰだがどうなんだろうな」
あらためてファンの中で話された。
「士濃塚は首位打者にゴールデングラブだったな」
「末本は盗塁王でな」
「タイトルあったな」
「この二人よくないか？」
「いや、二人共地味だろ」
ここでこうした意見が出た。
「タイトルにしても人気にしてもな」
「人気な、そう言うとな」
「確かに士濃塚も末本も人気はあったけれどな」
「凄いって訳じゃなかったな」
「そうだったな」
そこまでは至っていなかったというのだ。
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除