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ブレザーもまた
第一章
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いクリーム色のコートを着ている。生徒達も服なので皆コートやマフラー、手袋で防寒をしている。
「アウトです」
「コートがどうして?」
「トレンチコートですから」
 それでだというのだ。
「だからアウトですよ」
「トレンチコートの何処がアウトなのかしら」
「だって。このコートって塹壕の中で着てたものですから」
 彼は歴史から話した。
「第一次世界大戦は塹壕の中でいてそれでこのコートで寒さや雨を凌いでたんですよ」
「だからっていうの?」
「はい、軍隊の服ですからアウトですよ」
 先生の論理ならそうなるというのだ。
「詰襟とかセーラー服と同じですよ」
「全然違うわよ」
「いや、違わないですから」
「あれは日本の服じゃない」
 先生は怒った顔で詰襟やセーラー服の話をした。
「日本軍国主義よ。それの亡霊だから駄目なのよ」
「亡霊っていいますけれど」
「まだ言うの?」
「あの詰襟はドイツにルーツがありますから」
 生徒はその詰襟の話もした。
「ドイツ軍、プロイセン軍の軍服は詰襟で」
「日本はその影響を受けたっていうのね」
「はい、そうですよ」
 また歴史から話すのだった。
「海軍のセーラーもイギリス軍からですし」
「だからいいっていうのかしら」
「トレンチコートと同じですよ」
 着ているその意味はというのだ。
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