第三章
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無事に合格した、彼は合格発表の後学校でこのことを報告し家で両親、事前にメールを送った二人に言った。
「僕ちょっと旅行に行って来るよ」
「考えてか」
「そうすることにしたの」
「だってね、ずっと狭い世界にいた感じがするから」
母を見て彼女が自分に言ったことを思い出しつつ話した。
「だからね」
「それでか」
「旅行に行くのね」
「今終わったって思ってるけれど」
受験、それがだ。
「けれどお母さんに言われてね」
「はじまるともなのね」
「思ってるよ、受験が終わってそうしてね」
「何かをはじめることが」
「そう、はじまったと思うから」
それでというのだ。
「これからね」
「どうするかをか」
「探す為にも」
「お母さんも話に出してたし」
また母を見てその母にも漫画家をしている父にも話す、父は息子程ではないが痩せていて背が高い。学はよく父親似と言われる。
「だからね」
「それでか」
「旅行行くの」
「そうだね、北海道でも行こうかな」
北海道と思ったのは何となくだ、狭い机だけの世界にずっといたと自分で思うので広い場所にと思ってだ。
それでだ、冬休みかなり久し振りに自由になった長期休暇のその時にだった。
彼は北海道に行った、両親は家に残り一人旅だ。ただしお金は合格祝いということで充分に出してくれた。
それで函館や札幌、小樽と回って食べて歩いて色々回ってだ。彼は北海道を知っていった。そして札幌でふと入ったラーメン屋でラーメンを食べてだった。
そのうえでだ、彼はラーメンの味に驚いて言った。
「何かこれまで食べたラーメンと」
「全然違うかい?」
「脂っこくて麺も独特で」
それでというのだ。
「美味しいです」
「これがこっちのラーメンだよ」
「札幌のですか」
「ああ、こっちはラーメンが名物だけれどな」
いかつい顔の店の親父が笑ってカウンターにいる彼に言ってきた。
「北海道は寒いだろ」
「はい、かなり」
このことは肌で実感している、それで今もかなり厚着だ。
「話は聞いてましたけれど」
「普通に凍ったりするからな」
「だからですか」
「ラーメンも脂っこいんだよ」
「脂肪分で寒さを凌ぐんですね」
「そうだよ」
その通りというのだ。
「他にも何かとな」
「ここ独特のですね」
「ラーメンがあるんだよ」
「そういうことですね」
「あんた一人旅かい?」
親父は学にこのことも聞いてきた。
「そうかい?」
「はい」
その通りだとだ、学は親父に答えた。
「そうです」
「そうか、来たのは札幌だけかい?」
「函館と小樽にも行きました」
「どうだった?」
「寒いですね」
笑ってだ、学はまずは肌で感じたその気候のことを言った。
「ここは、それに」
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