第五章
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「いつも言い合ってるけれど」
「そうした理由だったの」
「それじゃあ生徒会を出たら」
「その時は」
「言い合うのはここでだけだから」
幸季が答えた。
「生徒会室で」
「生徒会長と副会長の言い合いはここだけだしね」
葵も言う。
「だからここでは言い合うけれど」
「校長先生に言われた通り」
「それでもここを出たらね」
「言い合う必然性もないから」
だからだというのだ。
「俺達も普通に接してる」
「お互い知ってる間柄だし」
「幼稚園の時から一緒で」
「よく遊んでるしね、今も」
「そういう理由だったんだな」
二人の話を聞いてだ、一同はそういうことかと納得した。その顔は納得しているというよりかは何なんだそれはというものだった。
「何でって思ったら」
「校長先生に言われてなの」
「そうだったの」
「会長と副会長が言い合ってこそって言われたから」
「生徒会は動くって」
「仲良し集団よりも意見がぶつかった方がいい」
「そう言われたから」
二人はまた一同に話した、こうして謎は解けたがその校長が言うには。
「議論が動いた方が生徒会はよく動くものだよ」
「平和な状況よりもですか」
「そうしたものですか」
「そうだよ、だからね」
それでというのだ。
「このままだよ」
「生徒会はあの二人がですか」
「言い合ってですか」
「私達が間に入って話をまとめて」
「そうしていくんですね」
「それもまたやり方だよ」
組織の運営の仕方だというのだ、学校もまた組織であるからだ。校長は彼等に明るく話した。
そしてその話を聞いてだ、今度は彼等の間で話した。
「そんな経緯があったなんてな」
「校長先生のお考えあってだったの」
「何か真実がわかるよ」
「そういうことって思ったけれど」
実は二人は特に仲が悪くなかったこともだ。
「何でいうか」
「トップが言い合う方が動く?」
「それで周りが間に入って話をまとめて」
「その方が順調に動くものかしら」
「平和で和気藹々の方がよくない?」
「そっちの方が」
「けれど実際に」
その二人がいつも言い合う生徒会、そして生徒会が運営にかなり関わっている八条学園高等部農業科を振り返ると。
順調に動いていると言えた、それでだった。
「あれでもいいのか?」
「実際に運営自体は順調だし」
「それなら」
「ああしたやり方もあり?」
こう言うのだった、彼等の中ではこのことについて答えが出ることはなかったがそれでもだった。
幸季と葵の言い合いが生徒会を順調に動かしているのは事実だった、それで農業科の面々は校長が二人を言い合わせることもいいのかとも考えた。少なくともそれで順調に動いているのは事実だから。
会長×副会長 完
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