第四章
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「どうしてもな」
「加害者はどんな奴ですか?小さいんですか」
「麦粒の様に小さい」
博士はその大きさも言った。
「そして黒い」
「黒いんですか」
「見つけても迂闊に触らないことだ」
博士は牧師に注意もした。
「絶対にだ」
「何か話が読めないですが」
「そうだろうな。では今知るといい」
この事件でだというのだ。
「今後絶対に役に立つことだからだ」
「牧師としてですか?」
「軍にいて合衆国を回っていればな」
それでだというのだ。
「役に立つことだ」
「メーンじゃわからないことですね」
「メーンとフロリダで全く違うと思うが」
「みたいですね」
牧師はフロリダには行ったことがない、それでこう言うのだった。
「どうやら」
「どうやらか」
「はい、私まだフロリダには行ったことがないですから」
自分からも博士に話す。
「それでなんですけれど」
「暑いぞ」
「らしいですね」
「そしてテキサスはかなりワイルドだ」
「テキサスも行かれたことがあるんですか」
「二年位いた」
軍と共にいたことは言うまでもない。
「他にもカルフォルニアにもいたがな」
「何かメキシコだったところばかりですね」
「そうなるな。とにかくだ」
「はい、その加害者にはですね」
「迂闊には触れないことだ」
博士は真剣な顔で牧師に注意する。
「さもないと次の犠牲者は君になる」
「えっ、何かやばい感じですね」
「それだけ危険な相手ということだ。合衆国は危険の国だ」
「インディアンとかだけじゃなくて」
「蛇だけでもない」
そして猛獣だ。彼等にとっては憎むべき外敵やその他の獣達だけが合衆国の危険ではないというのだ。
「他にもいるということは知っておくべきだ」
「そうですか。それでその加害者は」
「何処にいるかだ」
博士は尚も村のあちこちを見回っている、そして何かを必死に探していた。
そしてやがてこんなことを言った。
「いたぞ」
「加害者がいたんですか」
「こいつだ。ちょっと来てくれ」
「はい」
牧師は博士と少し離れた場所にいたが博士の言葉を受けてすぐに博士の傍に向かった。そして博士が指差した方を見たが。
何もいない様に見えた。それで博士に尋ねた。
「何もいないですよ」
「そう思えるか」
「実際にいないんじゃないですか?」
「いや、いる」
だが博士はこう牧師に告げる。
「よく見るのだ」
「?よくですか」
「そうだ。私の指差す先に何がいる」
「これは」
牧師はここでやっと見えた。博士が指差す先には小さいものがいた。
本当に麦粒程だ。
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