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DOREAM BASEBALL 〜ラブライブ〜
決着
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もあり、いきなり打てと言われても困ってしまう。

「もういいかね?ハリーアップ!!」
「は!!はい!!」

あまりにもタイムが長かったため審判に急かされ打席に戻る穂乃果。その彼女の背中を見送る青年に、にこは声をかけた。

「剛さん?あのバットって・・・」
「そうだ。俺が最後カチこんだ時のバットだ」

彼はこの試合のためだけに自身が最後の勝利を納める本塁打を放り込んだバットを持参してきた。最後のこの場面、穂乃果をあえて突き放し彼女の闘争本能を煽った。そして思い出のバットを託し、全てを委ねた。

(俺が最後だけ使ったバット・・・でも、あれって孔明のバットなんだよな・・・)

甲子園(戦場)で散っていった友が愛用していたバット。そのバットを高校時代の恩師に頼み借りてきた。たくさんの人の想いを乗せたそのバットを渡せば、彼女なら全てを解放してくれると思っていた。

(このバット・・・あのビデオで出てきた奴だよね?)

打席に入った穂乃果はそのバットに見覚えがあった。剛が最後の試合、最後の打席で使用したバット。それをこの場面で託されたことが、すごく嬉しかった。

(怒ってるのかと想った・・・ううん。たぶん怒ってたんだよね?でも、それでもこのバットを穂乃果に任せてくれた。穂乃果はそれに、応えなくちゃいけないんだよね)

さらなるプレッシャーに襲われるかと思ったが、自然と体は軽かった。まるでバットが力を与えてくれるような、そんな気がする。

(あのバット・・・孔明さんの・・・)

そしてそのバットの存在はツバサにもわかった。身長170cmほどしかない孔明がおもちゃのように振り回していたバットは、彼のためだけに恩師が作ってくれたもの。リーチの無さをカバーするため長めに作られたバット。しかし、重さはギリギリまで削られており、規定の最低ライン。誰でも容易く扱うことができる。

(いいわよ、高坂さん。私は逃げも隠れもしない)
(剛さん。穂乃果は期待に応えます)

セットポジションに入り、最後の投球に全ての力を集中させる。これまでよりも速い腕の振りから投じられたボールは、世界の女子野球の壁、140kmを計測した。

(速い!!何としても捕らなければ!!)

リリースされた瞬間英玲奈も身構えた。捕れるかわからないほどの球速。しかし捕らなければと今までの経験と捕手としての才能に賭けてミットを伸ばす。

彼女の伸ばした手に白球が納まろうとしたその時、銀色のバットはそれをかき消した。

『打ったぁ!!これは大きい!!入るか!?』

ライトスタンドに向かってグングン伸びていく打球。ツバサはその打球を見ることなく、仁王立ちしている。その目からは大きな雫が溢れていた。

「楽しかったわ、高坂さん。でも、次は勝っ
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