決着
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のし掛かる。今までと何も変わらないはずなのに、突然襲ってくる重圧に体が押し潰されそうになる。まるで何かに心を掴まれて自由を奪われているかのようか、そんな気がしてくる。
(高坂さん・・・汗のかき方が尋常じゃないぞ)
(この子もここまで緊張するのね。ちょっと意外だわ)
守備では冴えていた頭脳がまるで働かず、無意識下でプレーしている穂乃果は”打たなければ“というプレッシャーをその中でも感じていた。打てるわけがないという考えと、打たなければならないという想いから、体が震えていた。
「穂乃果!!」
自分の体ではないかのような感覚に襲われていた彼女の名前をベンチから叫ぶ。穂乃果はそちらを振り向くと、剛から何かのブロックサインが出された。
(ん?ここでサイン?)
(打て以外に何かあるの?)
守っている側もこのタイミングで何があるのかと首を傾げる。だが、サインを出された側は目を大きく見開き驚愕した。
「た・・・タイムお願いします!!」
何のサインが出たかはわからないが穂乃果が慌てた様子でベンチに戻る。剛は待ってましたと言わんばかりに彼女を迎え入れる。
「剛さん!!”待て“ってどういうことですか!?」
剛から出てきたのはあろうことか待てのサイン。追い込まれた状態で出てくるはずのないサインき間違えたのかと穂乃果は飛んできた。
「何も間違ってないよ。俺はお前じゃ打てないと判断した。だから待てって四球になることを祈れって送ったんだ」
冷たい声でそんなことをいう指揮官に呆気に取られる。剛は穂乃果の顔をチラリとも見ずになおも言葉を続ける。
「せっかく海未もケガを押して打ってくれて、ことりがなんとかチャンスをくれたのに、お前は何をしてるんだ?相性が悪いから打てなくても仕方ないのか?そんなに怖いなら今すぐヒデコでもフミコでもミカでも好きな奴に代わってもらえ」
「ちょっと!!剛さん!!」
罵詈雑言を浴びせる剛をにこが慌てて止める。震えが止まらない穂乃果の肩を希がそっと抱き寄せる。
「剛っち、言い過ぎやで」
「そうよ剛くん!!それはあんまりだわ!!」
仲裁に入った希と真姫がそう言う。しかし、剛はそんか2人にも指導者らしからぬ発言を繰り出した。
「お前ら得点に絡んでないのによくそんなこと言えるな」
今まで優しくて大好きだった人物から、絶対に聞きたくなかった台詞を言われベンチが静まり返る。剛は誰も口を開かなくなったのを見計らうと、ベンチに入れている鞄から1本の金属バットを取り出した。
「悔しいか?穂乃果」
「・・・はい」
「だったら俺を黙らせてみろ、こいつを使って」
そういって渡されたバットは今使っているバットより心なしか軽く感じた。しかし、長さはこれまでのバットより
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