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フルメタル・アクションヒーローズ
第14話 やっぱり彼女はスーパーヒロインでした
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古我知さんはとんでもないことを口にした。

『おや? 何を勘違いしてるのかな? 狙いは君一人ではないんだよ』

「……なにッ!?」

 古我知さんの台詞に、俺の背筋は一瞬にして凍りついた。
 ――待て、どういうことだ!? 彼は矢村を追ってないのに……って、まさか!?

『おやおや、今稼動している「解放の先導者」が、僕の操るこの一体だけだとでも思ってたのかい? 君も夕べに見たことがあるだろうけど……本領の自律機動型は、複数で動けるんだよ』
「マ……マジかよッ……!」
『確かに、僕からは逃れられたよ。だけど、夜道を一人で歩く彼女が、自律機動型から逃げ切れるのかな?』

 ――ち、ちくしょうッ! 完全に誤算だった……!
 考えてみれば、確かに「解放の先導者」ってのは自動で動き回るモノだった。今俺の前にいるような、人が動かすタイプが特殊ってだけで、別にそれ以外のタイプが動けないわけじゃない……! 余りにもイレギュラーなコイツに惑わされて、完全に見落としていた!
 ってことは、今頃矢村は自動型の連中に――くそォッ!

『おっと、どこに行こうと言うんだい? 』

 矢村のもとに向かおうとする俺を、「解放の先導者」が阻む。ちょっ……なんでこんなに速いんだ!? 救芽井ん家の地下訓練室で戦った時は、こんなスピードじゃ――

「ごっ……!?」

 ――などと考える暇もなく、俺は膝蹴りを決められて吹っ飛ばされていた。
 腹筋なんて何のガードにもならない。息が詰まり、呼吸が苦しくなり、目眩がする。一瞬にして、俺は全く身動きが取れなくなってしまった。

『人が動かすと、スペックが同じでもずいぶんと違うんですよ。まぁ、仮にこの場にいたのが自律機動型だったとしても、龍太君が逃げ切れたとは思えませんが』

 うずくまって動けずにいる俺に、「解放の先導者」の機銃が突き付けられる。……あぁ、そうかよ。それがある以上、逃げられないってわけかい。

「く……そっ……!」
『君は本当によく頑張ったよ。ここまで食い下がれるなんて、本当に大したものだ。僕と関わったことなんて忘れて、その知恵を活かした将来を掴むといい』

 そんな勝手なことを抜かしながら、古我知さんの操縦する「解放の先導者」は俺を連れ去ろうとする。身じろぎもできない俺をひょいと抱え上げる様は、昨日救芽井がさらわれかけた場面を連想させた。

 ――ちくしょう! 矢村を守りたくって、なけなしの脳みそ回転させたってのに、なんてザマだ!
 こんな時、こんな時こそ、あの娘が……!

「私が、付いている限り」

 そんな俺の願望が、もしかしたら――

「そんな結末は有り得ませんよ。剣一さん」

 彼女を――「救済の先駆者」を、救芽井樋稟を、呼んだのかも知れない。

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