第14話 やっぱり彼女はスーパーヒロインでした
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するのも変な話だが。
彼が操っているのであろう「解放の先導者」は、あのヤバ気な爪を出してきた。ちょっと待て、殺す気満々!?
『大人しくしてくれれば、怪我はしないさ。次に意識が戻った時には、悪い夢も醒めている』
なんか気味の悪いことを口にしながら、ジリジリ近寄ってきたし……やっべーな、これは。
「矢村。マジな話だ。ここから離れろ」
「でっ、でも……!」
「マジな話なんだって、言ってるだろ! お前のためなんだ!」
なおも食い下がる矢村だったが、これ以上付き合ってたら彼女も本格的に危ない。ちょっと厳しいかも知れないが、これくらい言わないと、俺は彼女を守れる自信がない……。
そう、今はふざけてる場合なんかじゃなかったんだ。
これは、命懸けなんだ。本物の。
矢村は泣きそうな顔で、ゆっくりと俺の手を離した。彼女の温もりが去った腕に、ひんやりとした風が吹き抜ける。
「龍太、アタシのこと……嫌いになったん?」
縋るように、こちらを見上げる彼女。その小さな頭を、俺はそっと撫でてやる。
「嫌いな娘のために、逃げろなんて言うわけないだろ。バカなこと言うな」
さすがに、こればっかりはマジだ。
異性がどうのこうのを無視しても、俺は矢村が大事だと思ってる。いじめられてた上、顔も頭も運動神経も悪い俺に、いつだって味方でいてくれた友達なんだから。
「……うん。わかった。わがまま言うて、ごめん」
「あぁ。俺も言い過ぎたかも知れん」
「ええよ。――やけど、約束してな。絶対、明日も会うって」
「わかったわかった。商店街で、そういう話してたもんな」
「約束やからね! ――じゃあ、龍太。お休みなさい……」
やれやれ、ようやく納得してくれたみたいだ。彼女は心配そうな顔をしながらも、俺に背を向けて走り出していく。
「あ、そうだ。おぉーい! 今日のこと、警察に言ったらダメだぞー! それも約束だからなーッ!?」
闇夜に消えかけていく彼女の背中に、俺は思い出したように叫ぶ。向こうは戸惑ったように一瞬立ち止まったが、すぐに了解の意を示すように親指を立てて、今度こそ視界から立ち去った。
あ、あぶねー……。危うく、全てを水の泡にするところだった。事情を知らない彼女からすれば、まず警察に連絡するのが筋だったろうしな。
『いい心掛けですね。彼女を少しでも巻き込むまいと……感動的ですね』
だが無意味だ。――とか続けそうな声色だな、オイ。
……でも、「解放の先導者」の様子を見る限り、矢村を追う気配はない。俺の心配事は杞憂に終わったわけだ。
「さぁ、狙いは俺だけなんだろ? さっさと捕まえてみたらどうなんだ!」
俺はサッと身構え、逃げ出すための隙を伺う。――その時、
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