第14話 やっぱり彼女はスーパーヒロインでした
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いんじゃないかな? 一煉寺――龍太君』
――ご丁寧に、返して来やがった。
しかも、この声……!
「……古我知さん」
俺は矢村に聞かれないよう、そっと呟く。そう、これは間違いなく、古我知剣一の声だ。
『君のことは、お兄さんからよく聞かせてもらったよ。よく出来た弟さんらしいね』
「解放の先導者」の頭部から、スピーカーのように発せられる彼の声。その内容に、俺は思わず眉をひそめた。
「兄貴を、どうした?」
今、俺は自分でもわかるくらい、険しい顔をしている。
……もし兄貴に何かあったら、もう手段は選べない。俺が、プッツンしちゃうからだ。
『どうもしちゃいないさ。少しお話してから、帰路についたところだよ。この「解放の先導者」は、僕の端末から遠隔操作している特殊なものでね。君の様子を伺わせてもらっていた』
「のぞき見とは、いい趣味とは言えませんな」
『君に言わせれば「悪の親玉」だろうからね。そういう評価は見え透いてるよ』
「……ちっ」
俺は舌打ちしつつ、横目で矢村の様子を見遣る。彼女は困惑した表情で、喋る「解放の先導者」と俺を交互に見ていた。
――どうやら、俺と向こうの関係を隠すことは難しくなってきたみたいだ。漫画とかなら、こういう秘密はだいたい最後辺りまで隠し通せるもんなんだけどなぁ……やれやれ。
『本当は君が一人になってから、ご挨拶に向かうつもりだったんだけどねぇ。彼女とのイチャラブタイムがなかなか終わらないので、つい魔が差しちゃってね』
「差しすぎだ! あと別にイチャラブとかじゃないからな!?」
くそぅ、古我知さんが俺達を見送ってたのは、一人になった俺を狙うためだったのか! ていうか、背後から悪寒がするのはなぜだ!?
「なんで、なんでイチャラブやないねん……」
後ろから呪いの声がするけど、幻聴だよね? 聞き間違いだよね? 頼むから話をややこしくしないでくれぇぇぇッ!
――いや、待てよ! いま、いいことを聞いた気がする。
「俺が一人になるのを待っていた」……これはつまり、狙いは俺だけってことになるんじゃないか? 矢村も狙うとしたら、俺が彼女と別れるタイミングまで待つ意味なんてないんだから。
それに、古我知さんが最初に言ってたじゃないか。「君がどこかへ行った方がいいんじゃないかな」ってさ。そう、「君達」じゃなく「君」と。
……ってことは、矢村は向こうの眼中にはないって話になるよな。あくまで狙われてんのは、俺だけなんだから。
よかった……それなら、矢村を巻き込むリスクは避けられそうだ!
でも――「そう思わせることが罠」って可能性も無くはないよな。考え出したらキリがなさそうだけど……相手は俺より賢い奴なんだし。
……よーし、
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