第13話 おまわりさんおれたちです
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アタシやのに……」とかブーたれている。うーん、貸し借りを嫌う性分だったのかな?
「――あのさ、良かったらなんだけど。明日、また勉強見てくんないかな」
ならば、新たにクエストを依頼するまでよ。報酬がケーキ一箱ってことで。
「え? え、えええ!? あ、明日も来てええん!?」
ぬお、ものすごい食いつきだ……餌に引っ掛かった某水竜みたいだぞ。でもまぁ、少なくとも嫌がってる感じはしないし、これでよかったのかもな。
まだクリスマス前だから、ということでショートケーキを一箱プレゼント。さすがにホールは財布が軽くなりすぎるからな……。
食べ出したらすぐになくなる程度の量だが、それでも矢村は飛び跳ねて喜んでくれた。ぬいぐるみを買った時の救芽井といい、女の子って時々すっごい無邪気になるんだなぁ。
「えへへ、龍太がくれたケーキやぁっ!」
「そんなに嬉しいもんなのか? 味はともかく腹は膨れんだろうに」
「女の子は膨れん方がええのっ。それに、『龍太が買ってくれた』っていうのが大事なんやから」
ふむ。どうやら女の子ってのは俺が考えてる以上に、カロリーというものを気にしているらしい。俺を特別扱いしてるようなことを言ってる気がするが、多分気のせいだろう。
――すると、矢村は突然何かを思いついたような顔をして、ズイッと俺に迫ってきた。
「りゅ、龍太! あーん、しよや!」
「……はい?」
えーと、何だって? あーん?
もしかしなくても、あの「あーん」じゃないだろうな? おいおい、リアルにギャルゲー要素を持ち込もうとしてんじゃねーよ。
「ほ、ほやから、『あーん』やって! アタシが食べさせたるけん!」
「待て待て待て、おかしい。何かがおかしい! お前、今朝からいつもと明らかに様子が変だぞ!? 俺のことは名前で呼び出すし、しまいには『あーん』って……冬休みになってからお前に何が起きたんだよ!?」
「何も変やない! アタシがそうしたいって気持ちは、本物なんやから!」
なんだかこっ恥ずかしいこと言い出してるー!? これ以上喋らしたら何を口にするかわかったもんじゃないぞ、コレは!
矢村様、ご乱心めされたか! 仮にもここは、公共の場でございますぞ!
「あ、ああもう、わかったわかった! とにかくどっか行こう! みんな見てるから! ニヤニヤしながら見てるからぁぁぁぁッ!」
とにかく、場所を変えなければ。辺りの通行人は、どいつもこいつも俺達を好奇の目で見てやがるし。まるで、恋人同士がイチャついてるみたいじゃねーか!
俺は矢村の手を引っ張り、速やかに商店街から退散する。彼女を送るどころか、あちこち振り回してる……気がするけど、考えないことにしよう。
ある程度イルミネーションの輝きから
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