第12話 転校生は方言少女
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顔をしていた。
結局、その件は矢村が呼んだ先生によって解決された。俺をいじめていた連中は全員、停学もしくは転校を余儀なくされ、俺は一週間の病院送り。ケガは正直めちゃくちゃ痛かったけど、矢村が無事だったのでよしとした。
――その時にわかったのは、矢村が羨望や尊敬と同じくらい、妬みを買っていたということだった。文武両道で美人だけど、そんな彼女を嫌う奴もいる、ということだ。
他にも、彼女を否定する人はいた。方言を陰でからかう女子や、盗撮を働こうとする男子。クラスのみならず、学年全体で見ても人気者だった彼女は、同時に敵も作ってしまっていたのだ。
俺はそんな裏側を知ってから、矢村との付き合い方を変えた。連れ回されるんじゃなく、自分から彼女と一緒にいるようにしたんだ。
どんな時でも、彼女を一人にしないように。陰で彼女をバカにしてる連中の、盾になるように。
そうしていくうちに、いつしか「彼女の方が」俺について来るようになっていた。彼女を守ろうと、手を繋ぐようにもなったからだろうか。
聞いた話によると、この頃から彼女の持ち物は「男らしいもの」から「可愛らしいもの」へと激変したらしい。やはり解せぬ……。
「もしかして、俺のことを好きになったんじゃ?」
――なんて、バカな妄想もしたことがあるが……我ながら、勘違いも甚だしい。いじめられっ子に惚れる女がいるか? しかも相手は男勝りと評判の矢村だぞ……ありえねぇ。
ま、そんな恥ずかしい黒歴史はどうでもいいか。
矢村は、自己紹介の時に励ましてやったことを今でも感謝してるらしく、それが俺をスポーツに誘っていた理由だと言っているのだが……はて、だからといって勉強まで見てくれる程の恩義を感じるもんなんだろうか?
じゃあ、暴行されそうになったところを助けたからか――って、アレはそもそも俺がいじめられてたせいだもんなぁ。
うーん、矢村っていつも俺の世話焼いてくれるけど……イマイチ動機が見えないところがあるんだよな。
いつか、彼女の気持ちがちゃんとわかる時は――来るんだろうか? 来たら、いいなぁ。
――その方が、きっとスッキリ出来ると思うから。
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