第11話 悪の親玉、イン・マイホーム
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何気なくそう言ってみた。……言ってみただけだったのだが、何かがいけなかったらしい。
それまでホクホク顔だった矢村が、急にムスッとした表情になってしまったのだ。解せぬ。
「……むぅ」
「あれ? なんか変なこと言ったか、俺?」
「それって、あの救芽井って女の子と行った時やろ……」
「そうですが、何か?」
「やっぱりや! もぉぉッ!」
すると、矢村は何が不満なのか「ムキーッ!」と怒り出してしまった。くぅ、救芽井の態度といい、どうやら俺は「無意識のうちに女の子の機嫌を損ねてしまう」スキルの持ち主らしい。
こないだ、兄貴がモテない俺のために恋愛ゲーム「ときめきダイアリー」とか「ラブプッシュ」とか買ってきてくれたけど、正直まともにクリアできる自信がないぞコレは……。
「だいたい、救芽井って言ったら最近引っ越してきた迷惑行為常習犯やんッ! 龍太やって被害者やのに、なんでそんなとこの娘と一緒におるん!?」
あー……まずいぞ。またしても救芽井家の事情に関わりかねん質問が飛んで来やがった。
「アタシの方が付き合いも長いのに……あんたの面倒も見れるのに……なんで『救芽井』なん?」
おや? 今度はなんだか急にトーンダウンしてしまったみたいだ。なんだか縋るような上目遣いで、俺の顔をジッと見つめている。
……「クリスマス」っていう「ムード補正」のおかげかも知れないが、めっちゃ可愛く見えてきた。大丈夫か? 俺……。
桃色の唇に、雪みたいに白い肌。普段あんまり意識してない分、矢村のそういうところが目についちゃうと、なんかドギマギしちまって気まずいんだよなぁ。
――そういや、兄貴も古我知さんも、矢村を俺の彼女みたいに言ってたっけ。いかん、意識したらいかんぞ! 向こうからしたら、ただの男友達なんだから!
……と、俺が一人で勝手に脳内暴走しているうちに、いつしか俺達は昨夜の公園にたどり着いていた。
「――あちゃー」
もちろん、あれだけ大暴れした後の損害が元通りになってるはずもなく、公園全体に警察が調査した跡があった。そこら中にビニールシートやら立入禁止の注意書きやらがいっぱい……あーあー、警察の介入は困るって話はどこに行っちまったんだ?
こんな調子じゃあ、遅かれ早かれ救芽井家か「技術の解放を望む者達」が嗅ぎ付けられちゃうだろうに。近所迷惑、ここに極まれり。
「なんやコレ!? めちゃくちゃやん!」
当然、何も知らない矢村はあわてふためくばかり。うわぁ……別に俺がやったわけじゃないんだけど、関わった者として凄く申し訳なくなってくる……。
「と、とにかく、早く行こう。家はこっちであってたかな?」
これ以上ここにいたら、今度はこっちがいたたまれない! 俺は矢村の手を引いて、そ
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