第11話 悪の親玉、イン・マイホーム
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、兄貴と古我知さんは二人っきりになる。そうなったら……アッー!
――じゃなくて、商店街の火事みたいに危険な目に合わされるかも!
……いや、ないな。それだったら隣の救芽井家が黙ってないし、兄貴に危害が及んだら俺が警察に通報して終わりだ。
「技術の解放を望む者達」だって警察沙汰が嫌なんだったら、余計に暴れるのは避けたいはずなんだから。
――つまり、彼が兄貴に手出しするメリットはナシってことか。ここは何も知らない振りをして、出て行った方が得策なんだな……。
「全く……いいから、お前はさっさと彼女とデートに行ってこいよ」
すると、いきなり兄貴が変なことを言い出した。こんな時に――彼女?
「彼女って、矢村が?」
「ん? 違うのか?」
あっけらかんとした俺の対応に、兄貴は目を丸くして矢村の方を見遣る。彼女は俺の後ろで顔を赤くしながらペコペコしていた。
「どう見てもただの友達には見えないんだがなぁ……」
「んー、そうかぁ?」
「ももも、もーえーやん! そんなことより、はよ行こうやっ!」
俺と兄貴が兄弟揃って首を傾げていると、矢村はいたたまれなくなったのか大声で叫び出した。
「ええ、それがいいですね。お二方、もうじきクリスマスですから……素敵な聖夜を楽しんで来ては?」
古我知さんも面白げに、彼女の背中を押すようなことを言う。なにが楽しいんだよ、あんたは!
あーもう、調子狂うな全く! とにかく古我知さん! うちの兄貴にアッー! ……じゃなくて、妙な真似したら即通報だからな! 「おまわりさんこいつです」って訴えてやるからな! 覚悟しとけよっ!
迂闊にアクションを起こして暴れられたら敵わないしな……向こうも警察呼ばれると困るんなら、大人しくしてるしかないだろうし。後ろ髪を引かれる気分ではあるけど、今はどうすることもできない。
「しょうがねぇ……行こうぜ、矢村」
「う、うん」
俺は何事もなく「古我知さん」という名の嵐が通り過ぎることを祈り、矢村を連れて家を出ることにした。
……その時。俺は「破邪の拳」と書かれた玄関の紙を、再び訳もなく意識していた。兄貴が俺の視線から紙を隠すように立っているような気がしたが……俺の思い過ごし……なのだろうか。
◇
クリスマスが近いというだけあって、外はなかなかイルミネーションが盛んだ。住宅街だけでも、そこかしこにクリスマスツリーの飾り付けがあったりする。
ちょっとリッチな家庭では、サンタやトナカイのオブジェまで飾られていて、なかなか見栄えがいい。いいなー、俺ん家なんか、家にちっちゃいツリー型ろうそくがあるくらいだぞ。
「商店街の方とかだったら、もっと派手なのがあるかもな。朝行った時も、結構人通りが凄かったし」
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