第10話 勉強会は不毛に終わる
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兼ねたのか、彼女は顔を赤くしてプイッとそっぽを向いてしまった。まさか、エロ本でも探してたってのか? おいおい、俺はパソコンで画像落として済ます派だぜ?
「とにかく、さっさと始めようぜ。まずは現国から頼むわ」
これ以上詮索されては、俺の性的嗜好が暴露されかねん……というわけで、俺は早急に勉強会の開始を進言する。おぉ、自分から「勉強したい」とか言い出すなんて、俺も成長したなぁ……。去年まで、テスト期間中でも何食わぬ顔でゲーセンに繰り出してた頃が懐かしいわい。
「そ、そやな。始めよか……」
矢村はやや名残惜しげに辺りを見渡すと、そそくさと可愛らしいバッグから教科書やらノートやらを出して来る。方言や八重歯、そして快活な性格からか「男っぽい」と言われがちな彼女だが、持ち物は結構ファンシーなものが多い。
最初の頃はそういったものまで、男物のような無骨なものを持ち歩いていたらしいのだが……どういうわけか、今はピンク色が眩しい「少女趣味全・開!」なグッズを多数所持している。どうしてこうなった。
さて、そんな彼女に勉強を見てもらうようになって小一時間。
「漢字問題ぐらい解けなあかんやろ〜! 文章題は難しいの多いんやけん、ここで点数取っとかな!」
「いや、なんか『これぐらい楽勝!』って思って書いてたら『間違いでした』っていうのがほとんどなんだよな」
「そーゆーのを、油断大敵って言うんやで! ほら、これはなんて読むん?」
「えーと、『ちぶさ』!」
「ち・ち・ぶ! やらしい覚え方しようとすらからや!」
……絶賛大苦戦中でございます。
「ああんもう、次! 熟語の問題や! 『強いものが弱いものを喰らう』っていう意味の短文やで!」
「よーし、かかってこい!」
「問題文は、『所詮この世は(□□□□)』!さぁ、これはなんや?」
「『所詮今夜も焼肉定食』!」
「『所詮この世は弱肉強食』やろッ! どんだけ腹減っとんねんッ!?」
「いや、よく考えたら昼飯まだだったな〜ってさ」
「しかも空欄以外のところも違っとるしッ! 腹減りすぎて頭回ってないんやないん!?」
うーむ、思った以上に手厳しい。俺がバカなだけなんだろうか? 向こうは俺以上に頭抱えてるし……。
その後は小説の文章問題にも挑んだが、やはり難航した。
「さぁ、この後太郎はどう考えたん?」
「次郎をぶっ飛ばしてやろうと思った」
「なんでや!? 捨て犬を雨の中から拾ってきた弟にすることか!?」
「だってこの兄弟、マンション暮らしなんだろ? 普通、集団住宅でペットは無理だって。よって飼っちゃダメ。元のところへ捨てて来なさい!」
「この物語のオトンみたいなこと言うなぁぁぁぁッ!」
いや……だってそうでしょ? 「捨て犬
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