暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第2章 四国から来た方言少女
第9話 受験と訓練を秤にかけて
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
き込まれてるのも、無視しがたいんだよなぁ……これが。

 というわけで、俺は恐る恐る救芽井の顔色を伺うことにする。あぁ、俺って情けないなぁ……。
 すると、彼女は何かに気づいている様子で、まじまじと矢村を見つめていた。なになに? 矢村の顔に何かついてんの?

 しかし俺がその意味を考えようとする前に、彼女は俺の視線に気づいてフイッと顔を背けてしまった。くうぅ、やっぱりこの鬼軍曹から、許可なんて取れるわけ――

「ふん! そんなに勉強が大事なら、今日一日くらい許してあげる。彼女と好きなだけいればいいじゃない!」

 ――おお!? あんなに格闘術の特訓を優先させようとしてたのに、どういう風の吹き回しだ? とにかくラッキー!

「あ、ありがと」
「勘違いしないでよねっ! その娘の気持ちを汲んであげてのことなんだからねっ!」
「わ、わかってるわかってる。ホント助かるよ」

 眉を吊り上げ、決して「俺の都合を気にかけてのことではない」と強調する救芽井。そんなこと言わなくても、俺のわがままなんて聞く余裕がないのはわかってますから……。
 ところが、俺がその旨を態度で表すと、彼女はさらに不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。あれま、なにがいけなかったんだ?

 まぁ、今はそんなこと考えたって仕方がない。救芽井家の事情を思えば、俺が自分の都合に時間を使えるチャンスは限られてるんだろうし。
 今はせっかくの受験勉強の機会を、大切にさせてもらいますか!

「よし。んじゃあ、ぬいぐるみを運んだら、勉強見てくれよな」
「うん、任せとき!」

 俺から了解の返事を貰った途端、矢村はパアッと明るい顔になった。おぉ、そんなに喜ばしいことなのか?

 俺のことを名前で呼ぶようになったことといい、なんかいつもと様子が違う。どういうわけか、俺に優しい……ような感じがするな。
 二学期が終わる前まで――いや、ここで救芽井と会った時までは、彼女ほどじゃないにしろ、かなりツンツンしてる娘だったのに。急にどうして――

 ――ハッ! まさか……俺が「変態」呼ばわりされてるのを哀れんで……!?
 くぅぅぅッ! なんていい娘なんだ矢村ァァァッ! 俺がもしイケメンだったなら、ここで交際を申し込んでもいいくらいだ!
 だけど、変態呼ばわりの誤解が解けないのは辛い……いや、それでも彼女は味方になってくれているんだ!
 そうだ、俺にはまだ……帰れる場所があるんだ! こんなに嬉しいことはない……!

「ど、どしたん龍太? なに泣いとん?」
「うぐ、ひっく……ありがとう、ありがとうな、矢村ぁ……!」

 心配そうに俺の泣き顔を覗き込む彼女。おおぉ……いつもならおっかない女友達でしかなかった彼女が、今は美と慈愛の女神に見えるッ……!

「――バ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ