暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第8話 こんなデートは絶対おかしいよ
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 ――信じがたい台詞を、彼女は言い放っていた。

 ◇

 その後、俺達は買ったぬいぐるみを抱えて昼間には帰路についていたのだが、その間一言も言葉を交わさなかった。
 行きの時は、昨日のボロ負けのことでガミガミ怒られながらも、いろいろなことを教えてくれていたのだが。

 ――彼女によれば、商店街の火災も「技術の解放を望む者達」の仕業らしい。俺は拝見する前に気絶してしまったのだが、「解放の先導者」には火炎放射器まで組み込まれているのだとか。恐ろし過ぎる……。
 救芽井は顔を赤くして目を合わせてくれないので、俺はこうして会話が出来ない代わりに、今朝の話題を思い起こして帰るまでの時間を潰すしかなかった。

 にしても、あの火事が「技術の解放を望む者達」の仕組んだことだったとはね……。死人も怪我人も出なかったから良かったものの、こりゃあ大変なことになってきたもんだ。
 救芽井が言うには、人殺しを目的としない「技術の解放を望む者達」が火事を起こしたのは、「救済の先駆者」をおびき寄せて、運動能力のデータを調べるのが目的だった……という可能性が高いらしい。向こうは、救芽井が死人を出さないようにすることも計算済みだったってことか。
 それに「偶然、火が油に引火した」と思わせるように火炎放射器を使えば、「解放の先導者」の存在を知らない人々は「放火」だとは思わない。だから、仮に死人が出たとしても「技術の解放を望む者達」が世間に取り沙汰されることもない。
 ――なんとも、セコいことをするもんだなぁ。さすが悪の秘密結社(ただし人間は一人だけ)。

 ところで、そういうハードな話を朝っぱらからする救芽井だったけど、蓋を開けてみれば結構女の子らしいところもあるじゃないか。
 ちゃんと彼女の事情に付き合ってあげれば、なんとかなるかも知れないな。

 そんな淡い期待を抱いていると、救芽井家が見えてきた。さぁて! ぬいぐるみを家に運んだら、俺はいい加減勉強しないと!「救済の先駆者」の訓練も大事だが、それにうつつを抜かして入試に落ちたくもないからな。

 ――って、あれ? 俺ん家の前に、誰かいる……。

 よく見てみると、救芽井家の隣にある俺の家に、人影が見えていた。兄貴か? でも、今は就職の説明会に行ってる頃だし……郵便にも見えないな。あのシルエット――女の子?

 ――あ、なんか見つかった。つーか、こっちに走ってきた。

「一煉寺!? あんた何しとん?」

 俺の姿を見つけるなり、息せき切らして走ってきた彼女は……俺の顔見知りだった。

「へ、変態君? この娘――誰?」

 いきなり登場してきた第三者に、救芽井はかなりテンパっている。彼女の口から飛び出してきた「変態」というワードに眉を潜めつつ、例の女の子は俺に詰め寄っ
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