第8話 こんなデートは絶対おかしいよ
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わよ変態君! 迷子になってたらどうしようって心配してたのよッ!?」
「あー……いや、どの口が言うんだ?」
ろくにこの町を知らない奴が、知ってる奴のもとを離れて、人通りの多い時期にうろついてたら、そりゃ迷うわッ!
当の迷子の子猫ちゃんは、さも自分は迷ってなんかいないと言わんばかりに、ふくよかな胸を張ってるし……おぉ、揺れてる揺れてる。
ゴ、ゴホン。とりあえず、目の保養にはなったし、今回のところは大目に見てやるか。知らない町での暮らしで、不自由が多いのは仕方ないんだし。
「お、迎えの人かい? ……って、龍太君じゃないか! お兄さんは元気にしてるかい?」
「あ、どうも。ええ、今頃は就活でバタバタしてるでしょうね」
「ハッハッハ! 出来れば龍亮君にも警察になってもらいたいなぁ! なにしろ、交番勤務は大変でねぇ。とにかく人手が欲しいんだよ」
「兄ですか? あいつはわりかしフリーダムですから、多分向いてないですよ」
迷子になっていた救芽井を預かってくれていたのは、顔見知りの若いお巡りさんだった。松霧町自体が小さな町だから、俺はここの知り合いが結構多い。ゴロマルさんと知り合ったのも、彼ら一家がこの町に引っ越してきてすぐのことだった。救芽井と会ったのは昨日が初めてだが。
「そうかぁ……にしても、君も隅に置けなくなったねぇ! こんな超プリティな彼女捕まえるなんて!」
「ちょ、声が大きいですって! それに彼女じゃ――」
「断ッッッじて違いますッ! 誰がこんなドッ変態君ッ!」
軽く冷やかすお巡りさんを止めようとした時。これ以上は生物学的に不可能というくらいに、顔を真っ赤にした救芽井の怒号が、俺達二人の鼓膜に突き刺さる! キーンと来る聴覚の痛みに、俺もお巡りさんも思わず尻餅をついた。
ひぎぃ、ついに「ド変態」にランクアップかよぅ……。
「か、彼女じゃない? それじゃあ誰だい? こんな綺麗な娘、なかなかいないし……」
「ただのご近所さんですよぉ……!」
耳を抑えながら、俺は消え入りそうな声で必死に弁明する。
敢えて、「最近引っ越してきたお隣りさん」とは言わない。口にすれば、例の迷惑発光の元凶と知られ、彼女がクレームを受けてしまうからだ。夕べ、俺がそうしたように。
そうなれば、「変態」からの脱却が不可能になってしまうだろう。彼女達の都合上、光を止めることは出来ないし、それならクレームの末に、町を追い出されることになりかねない。
発光に悩まされることはなくなるが、嫌われたままで別れるのは後味が悪すぎる。そんなの、俺は絶対に嫌だ。
だからこそ、俺は彼女に応えなきゃいけない。どうせ近所付き合いするんなら、仲良しな方がいいに決まってるんだから。
「そ、そうか……ちょっと残念
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