第8話 こんなデートは絶対おかしいよ
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ない。
……あ、なんかチャラそうな男が絡んで来た――って思ったら裏拳一発でノックアウト。救芽井さん、マジパネェっす……。
「ちょ、待ってくれよぉ!」
俺は火事の跡を一瞬見遣ってから、すぐさま好き放題闊歩する彼女を追い掛けた。
――追い掛けたのだが。
「見失っちゃいました……」
はい、終了。
……って、人通りの多い時期に一人で飛び出すとか無情過ぎるだろッ! どうやって探すんだ? この状況……。
「お? 龍太君じゃないかい。お兄さんは元気でやっとるかえ?」
「魚屋のおばちゃん、緑のコート着た女の子見なかった?」
「うんにゃ、あたしゃ見とらんなぁ」
商店街の顔見知りに聞いてみても、結果はサッパリ。ああもう、どんだけ人を面倒事に巻き込みゃ気が済むんだか!
「小さい町だから、いつもなら人通りなんてあってないようなものなのに。よりによってこの時期にとは……恐ろしい間の悪さだな」
この場に彼女がいないのをいいことに、俺は思いっ切りため息をつく。商店街に来る途中、昨日の散々な扱いに辟易していて「朝から辛気臭い顔しないッ!」と平手打ちを貰ったことがあるからな。今ぐらい(精神的に)一息ついてもバチは当たるまい。
……そういえば、救芽井はどこに行こうとしてたんだ?
ふと、それが気になって、彼女が向かっていた方向を見つめていると――
――ぬいぐるみ屋が目に入った。
まさか、あそこに行きたかったとか? 町の平和を守る、正義の味方が?
いやいや、ないない! だって、あの生真面目スパルタおっぱい星人だぞ!? それに、今日は商店街の「パトロール」だって本人も言ってたし!
……でも、もしかしたら、ついでに見て行きたかったのかも知れないな。それに、二学期の終わりにこっちに引っ越してきたんだから、この町をよく知らないはず。ひょっとしたら、パトロールを兼ねて、この辺りを散歩してみたかったんじゃあ……?
正義の味方だろうとボインちゃんだろうと、俺と同じ年頃の女の子には違いないんだろうし。うーん、わからなくなってきたぞ。
――あれ? ちょっと待てよ……。
あの娘って、この町に来て日が浅いはず。
最近来たんだから、この時期は人通りがやたら多いってことも、多分知らない。
地元の人間(ここでは俺)と離れて、単独行動。
そして、なかなか帰ってこない。
……。
もしかしたら……いや、多分そうだ。
俺は迷わず、商店街の近くのとある場所へ向かった。救芽井がそこにいる、と確信して。
◇
その確信は、やはり的中していた。
商店街の傍にある、小さな交番。そこには、真っ赤な顔で俯くスーパーヒロインの姿があったのだ。
「お、おそ、遅い
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