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フルメタル・アクションヒーローズ
第7話 名誉挽回、したいなぁ
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の味方となってこの町を守っておるが……あの娘自身としては、本当はそんな王子様のような存在に救われる、『お姫様』になりたかったのじゃよ」
「ちょっと待った、なんでそれで俺が王子様……もといヒーローにならなくちゃいけないんだ?」
「お前さんが樋稟にとっての、初めての『男』だったからじゃな。自分にとっての『王子様』がするようなことを、それまでに必要な過程をすっ飛ばして実行してしまったお前さんに、相応の責任を取ってほしかったのじゃろう」
「それで自分を守れるくらいには強くなれ――っていう理屈に発展したのか? 無茶苦茶だな……」
「夢見る女の子というのは、そういうものらしいからの」

 ――というわけで、俺はメルヘンチックな夢の道を絶賛爆進中の救芽井さんにお応えして、彼女を守るヒーローを目指すことを余儀なくされてしまったわけだ。
 朝の九時に待ち合わせていた俺は、十分前には既に救芽井家の前まで向かおうとしていた……のだが、彼女はそれよりも早く家を出て俺を待っていた。

「来たわね。いい!? 自分の身も守れない一般人のあなたを、みすみす『技術の解放を望む者達』の脅威に晒さないための護衛任務なんだからね!? 勝手に私から離れちゃダメよ!」
「……!」

 そこで俺は不覚にも、緑のトレンチコートにミニスカートという、救芽井の女の子らしい格好に思わず目を奪われてしまう。
 茶髪のショートと凛々しい目鼻立ちが合わさって、大人っぽさと愛らしさが共存しているかのような、そんなアンバランスな魅力が保持されていた。
 それが意識的なものなのかはわからないが、少なくとも俺と同い年のようには、到底思えない風格がある。

「へいへい」

 そんな心の(やましい)動揺を気づかれまいと、俺は目を背けてわざとめんどくさそうに返事する。すると、向こうはムッとなって眉を吊り上げる。

「あと念を押して言うけど――これはデートじゃないんだからねっ!?」
「わかってるよ……」

 ものすごく顔を真っ赤にして、救芽井は俺を威嚇するかのように、思い切り指差して来る。ここまで警戒されてるのかと思うと、心がえぐられるようだ……。

 やっぱり、俺って嫌われてるんだなぁ〜。彼女と対話する度に、いちいち思い知らされる。
 初対面がマズ過ぎたってのもあるんだろうけど、彼女が男をろくに知らなかったっていうのが何より痛かったんだと思う。そりゃあ、初めて見た同年代の男にいきなり裸を見られちゃあ、ビクビクもしちゃうだろう……。
 だけど、このままじゃいけないってのは確かだ。この娘の王子様になってあげる――なんてのは、俺みたいなジャガイモ男には似つかわしくなさ過ぎるけど……それでも、出来うる限りの責任は取らなくてはなるまい。
 そのためにも、そして俺自身の名誉のためにも、「
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