第7話 名誉挽回、したいなぁ
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立ち直った俺は、パソコンに向かって黙々と何かの作業をしていたゴロマルさんを見つける。その傍らには、何かのチューブで繋がれた「腕輪型着鎧装置」が伺える。
あのパソコンを使って、彼は事件や事故を迅速に救芽井に知らせて、出動を促したりしているらしい。今は俺が傷つけてしまった「救済の先駆者」を修理しているのだという。
「君も苦労しとるのぅ」
「……どーも」
顔を合わせずキーボードを打ちながら、ゴロマルさんは呆れたような声で俺を労う。気に掛けてくれるのは嬉しいんだけど、巻き込んだのはあんた達ですからね?
去年までの冬休みならいざ知らず、受験シーズンのタイミングで漫画みたいな世界観に連れ込まないで欲しかったなぁ。せめて春休みまで「技術の解放を望む者達」には大人しくしてもらいたかった……。
「はぁ〜……」
思いっ切りうなだれながら、俺は窓の外から近所の様子を伺う。
そこでは、小さな子供がお父さんやお母さんに囲まれ、にこやかにクリスマスツリーの飾り付けに励んでいる姿があった。それに、お熱いカップルが住宅街を闊歩している様子も伺える。
そういえば、もうじきクリスマス……なんだっけ。
――何がクリスマスじゃあい! ちくしょおおおおお! 俺は恋人作ってデートどころか、初対面のお隣りさんに「変態」呼ばわりだよッ!
「……なにしとるんじゃ?」
気がつけば、俺は窓にベットリと張り付いて啜り泣いていたらしい。ゴロマルさんの哀れむような視線が痛い……。
「樋稟にも困ったもんじゃ。お前さんを過剰なまでに意識してしまったばっかりにのぅ」
顔を赤らめつつ、イライラした表情で床をトントンと蹴っている救芽井。そんな彼女の様子を、ゴロマルさんは心配そうに見つめている。
しかし、イマイチわからない。俺を意識してるってだけで、こんな面倒事の渦中に人を叩き込むのかよ?
「それって、俺が裸見ちまったせいか?」
「じゃな」
じゃなって……そんなストレートに肯定しなくたっていいじゃないかぁ。確かに悪いのは俺だろうけど、一応は事故なんだしぃ……。
「ああなった以上、救芽井はお前さんに望むしかなかったんじゃろうな」
「何を?」
俺が尋ねてみると、ゴロマルさんは達者な髭を撫で回しながら、いたずらっぽく笑う。
「王子様じゃよ」
「――は?」
◇
翌日。
いろいろと衝撃的過ぎる夜を終え、朝日が真っ白な雪を輝かしく照らす頃。
俺はお隣りさんの女の子――救芽井と一緒に、町を歩くことになっていた。
夕べにゴロマルさんに言われたことが、全ての始まりだった。昨晩の悪夢のようなやり取りが、ついさっきのことのように思い出される……。
「樋稟は息子夫婦の夢のために、正義
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