第5話 空気は読まないスタイル
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気がするし。
「……え? 変態……君?」
「だぁーくぁーるぁ! 俺は変態じゃないんだって! いい加減勘弁してもらえないかね!」
あーもう、開口一番に変態呼ばわりとは血も涙もないな! 全く、ちょっとかわいそうだったから、助けてやろうって思ったらこれなんだから!
……って、今はそこじゃないっ!
「それからあんた! 古我知さんだっけ? さっきから黙って聞いてりゃあ、勝手なことばかり口走りやがって! 手柄の横取りなんてお兄さん許しませんよ! ――多分俺の方が年下だけども!」
ビシィッ! と「呪詛の伝導者」の厳ついボディを指差し、俺は無謀にも啖呵を切る。マスクを付けてるせいで表情は見えないけど、多分両方とも「お前は何を言ってるんだ」みたいな顔してるんだろうなぁ……。
しょうがないでしょ!? カッコイイ登場の仕方なんて「咄嗟」には考えつかないんだから!
「……君は、樋稟ちゃんの知り合いかい?」
ドスの効いた低い声で、古我知さんが質問してくる。や、やべぇ、超こえぇ!
「お、おうとも! 早くその娘を放せ! じゃなきゃ……」
「――じゃなきゃ?」
「ひゃ、110番するぞ!?」
うぎゃー! カッコ悪ッ!?
ここまで威勢よく踏み込んでおきながら、肝心なところでお巡りさん召喚かよ!? 我ながら最低だ! 俺のバカ俺のバカ! 早くこの震えた手にあるケータイしまえっ!
「……ふーん。なるほど。樋稟ちゃん、運が良かったね」
ちくしょー、俺のバカ! アホ! チキン野郎! こんな脅しで悪の親玉が言うこと聞くわけ――あれ?
「きゃっ!」
「警察呼ばれちゃ敵わないからね。焦らず次の機会を待つよ」
「えっ? ……え?」
古我知さんは救芽井を俺の足元に投げ捨てると……。
……帰っちゃった。
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