キーマン
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わ」
平静を装ってはいるがその汗は隠すことができない。先程投じたストレートは127km。まだまだ勢いはあるが、前方に体重が乗り切らず、勢いが足りない。
「大丈夫よ、とにかくここで終わらせましょ」
「そうね。苦しいのは向こうも同じだし」
相手打者も疲労困憊のエース。条件は五分と五分。いや、元々の能力を鑑みれば有利なのはツバサの方だ。
「確かにそうだが、今の乗り切らない体重では万が一もある」
「どうするべきなのかしら?迷うわね・・・」
英玲奈とあんじゅはこのままの状態で挑むのは危険と考えていた。チーム内で意見が分かれていたところでようやくベンチから伝令が走ってきた。
「お待たせ!!」
「なんだって、監督は」
「全力で物真似するから聞いててね」
咳払いして腕組みをする伝令にそこまでする必要があるのかと思いつつも、面白そうなのでそのまま続けさせる。
「ツバサ、3球で元通り投げれるか?」
「え?」
妙に似ている物真似にツバサ以外のメンバーは笑いを堪えている。肝心のツバサは彼女が何を言おうとしているのかわからず次の言葉を待つ。
「小泉を歩かせて高坂で勝負する。だからあと3球で状態を戻せ」
「「「「「えぇ!?」」」」」
下位を歩かせて上位で勝負。花陽が当たっているならそれも頷けるが彼女には一切当たりがない。それなのにわざわざ同点のランナーを出して穂乃果と対戦する意味がわからない。
「なんで高坂さんと?」
「当たりがないから?」
「それもある。けど、一番はツバサの状態で判断してるんだって」
「私の?」
「そう!!ツバサは高坂さんとやる時球速が一番速いの!!たぶん、天王寺さんに対抗意識が強いから、その跡継ぎの高坂さんに異様にライバル心を持ってるのね」
そう言われればと全員が納得した。ツバサは1番、キャッチャー、左打ち、キャプテンと大嫌いな剛と共通点の多い穂乃果に敵対心を抱いていた。それが全面に出ていたから、ここまで彼女を圧倒していた。
「やろう!!ツバサ!!」
「私も賛成だよ、ツバサ」
全員がこの案に賛成した。そして反論をさせないためかのように散っていくチームメイトたち。その場に残ったのは、A-RISEの3人だけ。
「本当にあいつらは好きだな、お前のことが」
「小さくて可愛いもんね、ツバサは」
「撫でるな!!」
からかわれているのに笑いが止まらない。3人は互いに視線を交わすと、守備位置へと戻っていく。
『さぁUTX長いタイムを終えてようやく試合再開・・・あぁっと!?』
ポジションについたのに座ることなく右手で打者に届かない位置に的を作る英玲奈。そこに体を休ませるためにスローボールを投げ込むツバサ。3球緩い球を投げて四球となった。
『
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