自分を信じて
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のミットに収まった。
「ストライク!!バッターアウト!!」
「なんで・・・」
わかっていたのに、タイミングも合っていたのに、なぜか空を切ったバットを見ながら唖然としている。
「わかったんです、私たちはこの外角のストレートで勝ってきました。孔明さんがダブルスプリットを教えてくれたのはそれを使って勝つことじゃない。ダブルスプリットはあくまで保険。本当に教えたかったのは今までの自分たちの経験を信じることだったんです」
なぜリスクのあるダブルスプリットを教えたのか、ようやく答えにたどり着いたμ'sの9人は、スタンドにいる彼に頭を下げてベンチに戻ってくる。その椅子に腰かけている青年は、涙を流していた。
「剛、俺もやっとわかったんだ。自分のことを信じられないで勝つことなんかできないんだって」
走馬灯のように蘇るかつての記憶。その経験から得たのは他でもない、自分のことを信じるということ。
(ツバサは自分を信じていたから打てた。花陽ちゃんも最後の最後で自信を持てた。剛、お前は俺を信じてくれてたのに、俺は俺を信じられなかった。本当にごめんな)
自分の不甲斐なさを噛み締め流れ落ちる涙を拭う。その目に映るかつてのチームメイトは、険しい表情を浮かべていた。
「とりあえず、よく持ち直したな」
打たれたことを引き摺っていても仕方ない。重要なのはそのあとのこと。
「見てみろ、相手のキャッチャー」
一斉に振り替える9人。彼女たちの目に映るのは、背番号通りのポジションについたUTXの姿。
「相手は本気であの3点を守り抜きに来てる。だが、お前たちはそれを越えなければならない」
小さく頷く少女たちの顔はまだ諦めていないように見える。剛は頼もしい表情の彼女たちを見て笑みを浮かべた。
「ここからは博打でも何でもやるしかない。とにかく3・・・いや、4点だ。4点を何としても取ってこい」
「「「「「はい!!」」」」」
勝ち越され一時は意気消沈していたチームとは思えないくらい活気づいているベンチ。それを見てUTXの守備につく9人も笑みを浮かべていた。
「それでこそ倒しがいがあるのよ。ねぇ、英玲奈」
「あぁ。あと3人、頼むぞ」
マウンド上で打ち合わせを終えた英玲奈がポジションへと戻る。大詰めを迎えた決勝戦、果たして音ノ木坂学院は追い付くことができるのか!?
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