自分を信じて
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粗い息をしているエースのその言葉に、彼女たちは首を縦には振らない。
「何言ってるのかよちん!!」
「そうよ!!それ以上投げたらボールを投げるどころか箸も持てなくなるわ!!」
彼女の同級生コンビも厳しいコメント。それでも、気弱なはずの花陽は負けじと対抗する。
「だって!!やっとここまで来れたのに・・・このまま自分の力を出し切れないで負けるなんてやだよ!!」
「花陽・・・」
「かよちん・・・」
めったに聞かない大きな声。その声はわずかに掠れており、少女は涙を拭う。
「花陽ね、みんなと大好きだった野球ができて嬉しかったの。だから最後、自分の一番いいボールで勝負したい」
これで壊れてもいい。それぐらいの考えが頭を過っている花陽を皆止められないでいた。しかし、彼女のその言葉で、意気消沈していたはずの穂乃果の目が輝き出した。
「それだ!!」
「「「「「え?」」」」」
「それだよ花陽ちゃん!!一番いい球で勝負すればいいんだよ!!」
何を当たり前のことを言っているのだろうと唖然としている8人。すると、穂乃果は花陽の手を取り彼女の考えを述べる。それを聞いた彼女たちは驚いたが、同時に納得しポジションへと散っていく。
「長かったわね、高坂さん」
「すみません。大事なことを話してたので」
ベコッと頭を下げてポジションに着いた穂乃果。カウントは1ストライク。タイム中に打ち合わせをしていたからか早々にサイン交換を終えると、花陽は早いテンポから投じる。
(外角へのストレート!!届く!!)
タイミングはバッチリ。しかし、ボールはバットの上を擦りバックネットへと直撃するファール。
(あら?捉えきれなかったわ)
その前のストレートと大差なかったように感じたが、あんじゅの予想よりもボールが伸びてきていたらしく打ち損じた。これで2ストライク。新しいボールを受け取ると、プレーがかかると同時に花陽は投球を開始した。
(最後はたぶんスライダー。甘く来たら狙うわ)
そう思っていた。しかし、テイクバックに入った際花陽の手が視界に入った。
(ストレート!?3球続けていけると思ってるの!?)
裏をかいたつもりだろうが、握りが見えてしまっては意味がない。あんじゅは咄嗟にストレートに狙いを切り替え待ち構える。
ビシュッ
見えた通り向かってくるのは何の変鉄もないストレート。あんじゅはこれを見極め、打ちに出る。
(外角低め。今度こそ)
タイミングは合っていた。捉えられていれば間違いなくスタンドに吸い込まれるだろうというスイング。しかし、グラウンドに響き渡ったのは快音ではなかった。
バシィッ
外角低めに決まったストレート。4番のバットはその球を仕留められず、穂乃果
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