自分を信じて
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「ナイバッチ！！」
「やっと出たな、ツバサ」
ホームベース付近でハイタッチしながらベンチへと戻っていくツバサたち。彼女たちは次の打者であるあんじゅとスレ違い様にタッチすると、ベンチへと威勢良く帰っていく。
「英玲奈、次からキャッチャーで行くぞ」
「わかりました」
リードができたことで最終回は守りに徹するため、本来のシートへと選手を戻すことにした西村。打席に向かうあんじゅにもその会話は聞こえており、ようやく捕手から解放されることに安堵していた。
（やっと元に戻れるのね。おかげでバッティングに集中できるわ）
ここでもう1点取れば彼女たちの息の根は完全に止まる。それを知っているからこそあんじゅは打撃に集中できるこの状況に感謝していた。
（そんな・・・なんで・・・）
狙いはよかった。しかし打者の力がそれを上回ってしまった。穂乃果は呆然とする意識の中、投手に声をかけることもせずに座りサインを送る。
（穂乃果、花陽の状態はわかってるのか？お前まで落ち込んでどうするつもりだ）
何事もなかったかのように再開された試合に剛は不安そうな態度を見せる。それに気付く気力もなく、μ'sの一同は花陽から投じられるボールを見つめている。
ｶｷｰﾝｯ
甘く入ったストレート。あんじゅはこれを逃すことなく捉え、打球は弾丸ライナーでスタンドへと飛び込んだ。
「ファール」
ただし、ライトポールをわずかに外に流れながら」
「穂乃果！！」
指揮官の激昂によりようやく穂乃果は正気を取り戻した。ボールデッド中なので審判から替えのボールを受け取りマウンドへと走っていく。その際ベンチからのフミコが飛び出してきて、内野、さらには外野の全員が呼び寄せられる。
「まさか諦めたわけじゃないよね？だって」
開口一番辛口コメントに押し黙る一同。フミコはその落ち込んでいる表情の彼女たちを見て、思わず表情を暗くさせる。
「ちょっと・・・まだ試合は終わってないわ！！裏で取り返せばいいじゃん！！」
「フミコ・・・剛さんはなんて言ってたの？」
彼女の言葉を遮り穂乃果は弱々しい声でそう訊ねる。それにフミコはゆっくりと話し始めた。
「優木を押さえて流れを引き戻せ。お前たちなら絶対できる」
指示は出ているが、具体的な対策がない。それはそうだ。剛も彼女たちと同様に頭がパニックになっているのだから。
「抑えるって・・・」
「どうすればいいのん？」
コントロールだけでは限界があることはたった今証明されたばかり。それなのに何をどうすればその指示を完遂できるのか、少女たちにはわからない。
「ねぇ、あと1球だけ、ダブルスプリットを投げちゃダメかな？」
その提案に全員が声の主の方を向く。汗だくで
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