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レーヴァティン
第三十五話 北の大地その五
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「普通のテントよりさらにいいよ」
「ゲルな」
「そう、あのモンゴルのね」
「チンギス=ハーンも使ってたな」
「その頃から殆ど変わってないよ」
 ゲルはそうだ、もっと言えばそれこそ匈奴の頃から変わっていない。遊牧民の生活はその頃からのものなのだ。
「あのゲルはね」
「そのゲルに入ってか」
「そう、夜はゆっくり休む、馬や驢馬の為のものもあるから」
 それもというのだ。
「馬も驢馬もね」
「その中でか」
「夜は暖かく休んでもらって」
「体力を回復してもらうか」
「彼等もね、寒い中進んでいるのは同じだよ」
 馬や驢馬達にしてもだ、見れば彼等は久志達と共に黙々と荷物を運びながら進んでいる。それも忠実に。
「だからね」
「それでか」
「そう、だから夜はね」
「暖かい中で休んで体力を回復してもらうか」
「おいら達と一緒にね」
「寒いと大変だな」
 久志はつくづくといった口調になってこうも述べた。
「それへの対策を色々しないといけないからな」
「そうだね、けれどね」
「しないといけないものだよな」
「生き残る為にはね」
 例え魂だけになっても生き返ることが出来てもだ、死ぬということに変わりはないからというのだ。
「何があっても」
「だよな、じゃあな」
「夜はゆっくり休んで」
「昼に進むか」
「そうしていこうね」
「食いものも食ってな」
 正はこの話をここでした。
「それもしっかりとな」
「そうそう、食べることも大事だよ」
 源三は言いつつ干し肉を出していた、言うまでもなく食べる為に出した。
「さもないとね」
「栄養も補給出来ないしな」
「体温も下がるだけだから」
「食うって本当に大事だな」
「人間何処でも食べないとね」
 チーズを出して食べはずめた正に話す。
「こうした寒い場所だとカロリーの高いものをね」
「体温がどんどん逃げてその分体温維持にカロリー使うからな」
「だから寒い場所だとね」
「カロリーの高いものだな」
「それを食べないとね」
 こうなるというのだ、論理としては。
「身体がもたないよ」
「そうだよな」
「ああ、食べないとね」
「駄目だな、じゃあな」
「今も食べようね」
「そうしないとな」
「そしてです」
 順一も言う、見れば彼は酒を出していた。水筒に入っているその酒は一体何であるかというと。
「ウォッカもです」
「その酒でござるな」
「はい、飲むのなら」
 順一はパンを食べている進太に話した、そのパンは乾パンで少し見るとビスケットにも見えるものだ。
「これです」
「アルコール度が高く体温が一気に高まるからでござるな」
「そうです、寒い場所ではこのお酒です」
「それも時々でござるな」
「飲むべきです」
 そうすべきだというのだ。

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