第百三十六話 鍛錬をしてその三
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「ワインかもって言われているんだ」
「赤ワインですね」
「そうも言われているし」
「そうした話があるのですか」
「酒呑童子とかね」
文字通り酒を呑む、だ。
「そうも言われてるんだ」
「そうですか」
「まあ実際はわからないけれど」
この辺りはだ、本当に諸説あって。
「そうした話もあるんだ」
「面白いですね、確かに」
「うん、まあそれでうちの学園の鬼はね」
「お酒を飲んでですね」
「お豆腐や葡萄を楽しんでいるんだ」
本当にただそれだけだ。
「あくまでね」
「平和ですね」
「そうした鬼もいるんだね」
「そうですね、さて後は」
職員室の前に来てだ、円香さんは僕にあらためて言ってきた。
「鍵を返してきます」
「うん、じゃあね」
僕は円香さんに微笑んで話した。
「今は」
「はい、すぐに帰ってきます」
微笑んで僕に言ってだ、円香さんは職員室に入った。僕は戻ってくるまで二分位かと思っていた。
時間はその二分だった、けれど。
戻ってきたのは円香さんだけでなく留美さんもだった、留美さんも僕に対してこう言ってきた。
「職員室の中で一緒になった」
「そうだったんだ」
「そうだ、ではだ」
「三人で?」
「帰ろうか」
留美さんから僕に言ってきた。
「これから」
「うん、それじゃあね」
「今から帰るとしよう」
こうしてだ、僕達は八条荘への帰路についた、そこでだった。
学園の正門を出てだ、留美さんは僕達にこう言ってきた。
「今日は幽霊や妖怪の話をしたが」
「実は先程もでした」
円香さんが留美さんに応えた、二人共制服のスカートは同じだ。けれどブラウスは留美さんは青円香さんは白だった。
「義和さんとお話しました」
「そうだったのか」
「はい、道場の幽霊のことで」
「合気道部のだな」
「そうしていました、けれど」
「出ないな」
「十二時でなかったので」
本当にそのせいでだ。
「出なかったです」
「そうだな、しかもだ」
留美さんは円香さんに顔を向けてそのうえでこうも言った。
「ああした存在は観ようと思えばだ」
「出て来ないですね」
「そうしたものだ」
まさにというのだ。
「私も観たことがない」
「幽霊や妖怪は」
「一度もな」
「観ようと思えば」
「観られない」
隠れてしまうからだ、向こうの方で。
「どうしてもな」
「そうですね、本当に」
「どうも私は欲が出てしまうらしい」
留美さんは眉を曇らせてこんなことも言った。
「我が強くてな」
「そうなのですか?」
「そうだ、私はな」
「我が強いのですか」
「いつもそうだ、思い入れが強くてだ」
そしてというのだ。
「何でもやろう、勝とうと思ってだ」
「我が出ますか」
「そう
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