第四章
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「あのお酒はね」
「焼酎は飲ませてもらったので知ってますが」
「日本酒はだったんだ」
「はじめてでした」
まさにその時がというのだ。
「ですから」
「美味しくてだね」
「不思議な感じがしました」
「そうだったんだ」
「はい、とても」
こう裕介に答えたのだった。
「飲んでみて」
「あれが日本のお酒なんだよ」
まさにとだ、裕介はナターシャに答えた。
「ああしてね」
「甘い感じがしますか」
「辛口もあるけれどね」
「全体的にアルコール度は低いですね」
「ウォッカと比べるとね」
「焼酎とも」
「そうだよ、焼酎の方が高いよ」
アルコール度はとだ、裕介はナターシャにこのことも答えた。
「お酒はね」
「そうですね」
「味はどうだったばい」
ここでこの声が来た。
「それでばい」
「ばい?」
「僕言ってないよ」
裕介もその声を聞いて少し驚いて言った。
「ばいとかね」
「はい、裕介さんのお声じゃないです」
「何、この声」
「おいどんばい」
ここでまた声がした、そしてだった。
二人の目の前にひらひらとした細長い白い布が出て来た、布の一方は日本の幽霊の足の様に細長くなっていて途中で消える感じで終わっている。布の上の方に小さな目が二つあってそのすぐ下の左右に手がある。
「おいどんが聞いたばい」
「えっ、まさか」
「あの、この布みたいなのは」
裕介もナターシャも共に言った。
「ひょっとして」
「うん、妖怪だよ」
裕介はナターシャにすぐに答えた。
「一反木綿だよ」
「一反木綿?」
「日本の妖怪だよ、それも結構以上に有名な」
こうナターシャに話した。
「漫画でも出ているよ」
「そうなのです」
「いや、まさかね」
「ここで、ですか」
「妖怪が出て来るなんて。それもお正月に」
「妖怪はお正月でも出て来るばい」
その布の様な妖怪の言葉だ、生地は紙の様に薄くひらひらとしている。
「だからおいも出て来るばい」
「そうなのです」
「そうばい、外国から来た娘さん」
妖怪はナターシャにドヤという声で言った。
「この一反木綿も」
「ああ、やっぱりね」
妖怪の名乗りを聞いて裕介も頷いた。
「妖怪なんだ」
「そうばい」
その通りと答えた一反木綿だった。
「それでおいはばい」
「どうしてここにいるのです?」
「実は二百年前に移住してきたばい」
この大阪にというのだ。
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