第一章
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大阪の一反木綿
ナターシャ=チェシチェンコはロシアから日本の村田裕介の家にホームステイに来ている、見事な腰までのブロンドのストレートの髪にやや切れ長の感じの深い青い瞳と細い金色の眉を持っている少女だ。口は小さく鼻は適度な高さだ。胸は留学先の高校の制服の上からでもはっきりとわかる位に大きい。
大学生の裕介とは家に来て早々に打ち解けて仲良く過ごしている、ある日そのナターシャが裕介にこんなことを言ってきた。
「日本の妖怪の漫画やアニメは多いですね」
「ああ、そう言われるとね」
家でテレビを観ながらナターシャに言われてだ、裕介も頷いた。裕介は普通に眼鏡をかけた黒髪をショートにしている青年で背は一六四位のナターシャより十センチは高い。実は少し腹の肉が気になっているが普通のスタイルだ。
「多いね」
「そうですよね」
「何かとね」
「私達が今いる大阪もですか?」
ここでナターシャは裕介にこうも聞いてきた。
「この阿倍野区にも」
「あったかな」
言われるとだ、裕介は微妙な顔になった。
「ここには」
「心当たりないですか」
「ちょっとないね」
こうナターシャに話した。
「実は」
「そうなのですか」
「うん、どうもね」
二人で時代劇チャンネルを観つつ話をしていてだ、裕介は名奉行が桜吹雪を出した場面を観ながらナターシャに話した。
「狐位だね」
「ああ、狐ですか」
「そう、狐はね」
それはだった。
「有名だよ」
「そうなんですか」
「安倍晴明っていう人がいてね」
「阿倍野と安部ですか」
「僕理系だからね」
医学部の学生だ、将来は医者になるつもりなのは言うまでもない。
「そっちは詳しくないけれど」
「狐のお話はですか」
「聞いたことがあるよ」
「では狐の出るところに行けば会えますか?」
「狐に?」
「はい、化かす狐に」
妖怪というか変化と言うべきものにというのだ。
「出会えますか?」
「どうかな、僕も妖怪の存在は否定しないけれど」
「出ないですか」
「出ないんじゃないかな」
首を傾げさせてだ、裕介はナターシャに答えた。
「やっぱりね」
「そうなのです」
「大阪よりも京都かな」
この街の名前を出した裕介だった。
「妖怪の話が多いのは」
「そうなのですか」
「あそこは古い街だからね」
それこそ平安京からのことだ。
「もうね」
「妖怪のお話が一杯ありますか」
「幽霊の話も多いよ」
こちらもというのだ。
「もうそれこそ山みたいにね」
「ありますか、京都は」
「そうみたいだよ」
「残念ですね、私としてはです」
「この大阪でだね」
「日本の妖怪を観たいですが」
「幽霊の話はあるけれどね」
大阪にもとだ、裕介
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